君を好きな理由 ページ10
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「ちょっと待っててね」
「あ、おい!」
パッと俺の手を離し小走りで店の中に入って行ったA。
店の自動ドアの透明なガラスから中の様子を伺いAの姿を目で追う。
キョロキョロと辺りを見渡していたAはある1点のコーナーに目を止めて、外から見ても分かるくらい嬉しそうな顔をしてその靴を手に取った。
明らかに男物のスニーカーだし、不思議に思い首を傾げる。
そこで、ハッとある事に気がつく。
明日は俺の誕生日だ。
今日は珍しく部活はオフだったけど、明日からはまた普通に部活が始まるし、そうすればオフなんてきっと当分やってこない。
だから、わざわざ今日祝ってくれる気なのかなんて自分本位な理由が頭に浮かんだけれどきっとそうなんだろう。
そんな事を考えていれば、会計を済ませたAが綺麗にラッピングをされた袋を抱えてこちらに向かって走ってくるから、やっぱり俺の予想は当たっている。
「テツ!誕生日おめでとう」
目の前の自動ドアが開いたのと、Aが俺の名前を呼んだのはほぼ同時だった。
はい、と嬉しそうにプレゼントの入った袋を渡してくるAにずっと感じていた疑問を投げかける。
「なんで今日なんだ?」
「…明日からまたテツは部活が始まっちゃって、なかなかオフがないでしょ?…もちろん明日も祝う!でも、せっかくのテツの誕生日なんだから、2人きりでお祝いができる日が欲しかったんだ。」
少しだけ、頬を染めて恥ずかしそうに笑うAはその後に少しだけ不安そうに迷惑だった?なんて聞いてくる。
迷惑なわけがない。そんな意味を込めてAのふわふわとした柔らかな髪の毛を撫でてやる。
先程の不安そうな顔とは一変して、嬉しそうに安心したような飛び切りの笑顔を見せるAを見て何となく、Aと付き合っている理由がわかった気がした。
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ru:c - 私の憧れ兼大好きな作者様が揃ってて、発狂しかけました← 一日遅れたけど、黒尾さん誕生日おめでとう。 皆さんこれからもがんばってください!!!! (2016年11月18日 22時) (レス) id: 202298c49d (このIDを非表示/違反報告)
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