君を好きな理由 ページ9
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時折、何も無いところで躓いたり、人が多いせいで電車に乗ろうと俺達とは反対方向に進み駅に向かっているスーツを着たサラリーマンとぶつかっていたり、俺が手を離してしまえばすぐに人の波に飲まれてどこかへ流されそうなAを後ろからずっと見ていたけれど、やっぱり少しだけ心配になった。
「A、1回ストップな」
「何?どうしたの?」
クン、と手を引っ張って足を進めるAを止めてから、Aと肩を並べてもう1度その手を握って歩き出す。
Aは、ほっとけないと思わせるような雰囲気がある。今みたいに少し危なっかしかったり目が離せないな、なんて母性本能なのか、そのようなものに似た何かが出てきてしまう。
「もうすぐ付くんだろ?」
「うん、もうすぐそこだよ」
俺の手を小さな力で握り返してきたAは、俺を見上げながら嬉しそうに笑顔を浮かべる。
駅前の道を抜けた先には沢山の店が立ち並ぶ繁盛した如何にも都会という感じの場所だった。
何度かそこに来たことがあったけど、そこまで俺はここに詳しくはないし、そこもやっぱり人で溢れていたからAがはぐれないように、人の波にのまれないように握っていた手に少しだけ力を込めた。
「あ!見えてきた!」
嬉しそうに握っている手とは反対側の手で目当ての店を指さすA。そんなAの指先が示す方向に目をやれば、最近出来たらしいスニーカーショップが目に入った。
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ru:c - 私の憧れ兼大好きな作者様が揃ってて、発狂しかけました← 一日遅れたけど、黒尾さん誕生日おめでとう。 皆さんこれからもがんばってください!!!! (2016年11月18日 22時) (レス) id: 202298c49d (このIDを非表示/違反報告)
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