愛を考えてみて、それから伝える【黒尾生誕祭】 (ページ26)

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さよならを言わないページ26

　
　
　彼と私の出会いは彼が高校生のときでした。
　
　お兄ちゃんの他校の後輩、って紹介してもらって。
　
　私はまだ中学生だったけど、彼は仲良くしてくれました。根っからの善人ですから。
　
　ロリコンだのなんだのなんて彼が言われていたこともあったけど私は気にしたことはないですよ。そんな下心しかないような人は私は知りません。
　
　きっと彼は妹のような気持ちで可愛がってくれてたのでしょうが、私はかっこいい彼がその頃からずっと好きでした。もちろん、今も。……はい、照れない照れない。
　
　今でも鮮明に記憶に残っているのはなのは彼が私にネックレスをくれたときのこと。
　
　今でも愛用してるなんて言ったら、どんな顔をするのかな、って楽しみにしていました。ふふ、変な顔。
　
　二人目のお兄さんみたいな感じで思ってたのが、だんだん変わっていって、だんだん、だんだん大好きな人に変わっていったんです。
　
　片想いでもいい。ずっとずっと彼を思い続けていられればそれでいい。そんなふうに思っていたことも忘れられません。
　
　一緒に行った遊園地や、彼の家でたくさんお話ししたことも忘れません。
　
　
　
　これからもずっとずっと忘れません。
　
　
　
　
　
　
　
　付き合いはじめたのは彼が大学生になった頃。
　
　当時高校生だった私を、高校の校門前で待ち伏せて、告白してくれました。あれは恥ずかしかったな。
　
　私は彼からの告白に本当に驚いていました。そんなことあり得ないと思ってたから。私の一方的な片想いだと思っていたから。
　
　好き、って一言言われただけで夢心地で、本当に嬉しかった。そう、こんな言葉じゃ足りないくらいに。
　
　はじめて手を繋いだこと。はじめてキスをしたこと。他にも色々。
　
　私のはじめてはすべてが彼で、もう、どうにもならないくらいに嬉しかったんです。
　
　彼にとっての色々なはじめてが私じゃないってことが、唯一の寂しさです。あ、ちょっとそんな顔しないで。……っと、すみません。
　
　中でもはじめてのデートは楽しかった。一緒にお買い物をして、一緒にご飯を食べる。
　
　そんな些細なことでしたが、私にとっては最大級の幸せでした。
　
　過去形ではなく、現在形でした。
　
　幸せ、です。
　
　
　この幸せは、きっと途切れることなんてないのでしょうね。
　
　
　
　
　
　