愛を考えてみて、それから伝える【黒尾生誕祭】 (ページ3)

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澄んだ青に輝く宝石を。ページ3

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「鉄朗降ってきたってば～」

「もーーーすこし。」

しゃがんで海を眺める鉄朗の体を揺さぶる。ただでさえ寒いっていうのに雨のせいでもう体が震える。

なのに消して動かない岩のように立ち上がろうともしない鉄朗。…まあ今日はこの人の誕生日だから仕方がないか、と渋々私もその隣に腰を下ろした。

「晴れてる時に来ればいいのに。」

「今日雨降る予報だったっけ」

「天気予報見てなかった。」

私たちは昔から無計画に動く人だった。初デートに砂浜へ来たのもなんとなくで、まあその日は清々しいほどの晴れ日和だったから海も透き通るような青で美しくて、結果的に良かったのだけれど。

でも今日は残念ながら澄んだ青を見ることは出来なさそう。このどんより雲が引っ込まない限りは。

「…もう、8年。」

「え？」

「お前ともう8年もいるんだな、って。」

海を眺めながらポツリと呟く。いつものツンツンと立った頭は雨の湿気のせいでぺったんこになってて思わずクスリと笑ってしまったけど鉄朗はジッと淀んだ海を眺めながら、どこか真剣に話すんだ。

…8年、8年か。確かに長い。お互いが成長していく姿を一番側で見守っていた。時に苦しんだ時や投げ出しそうになったこともお互いに相談して叱りあったりしてそうして私達は一緒に過ごしてきた。

鉄朗だからこんなにも付き合えた。

ーーなんて私も真剣に思ったりなんかして。

ただでさえ寒いのに雨は冷たいし眺めは最悪だけど、何故かここはすごく心が落ち着く。