獣の海と雫の方舟 (ページ23)

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２１話ページ23

side ハンター・夜汝

ガラス玉に赤い液体が入っているそれは光を反射して中の液体が輝いていた。
「それは…一体なんなのですか？」

少し近づいて見せてもらったあと、彼は丁重にハンカチに包んで小箱にしまう。

「まだ確定した訳ではない。だが…シズク…といったか。あいつに反応して光っていたのを除いても、確率は高い。
これが、雫だろう。」

あの方やサルグ様が毎日のように繰り返し私達に何をしてでも手に入れるよう言っている、雫。それは私が思っていたよりもとても小さく、自然に出来たとは思えないくらい綺麗な楕円球体でビー玉のようだった。

「雫、あっさり見つかったのです…。これでもう、任務は終わりなのですか？」
「いや、雫は1つではない。獣人に吐き出させた情報だと、赤、青、緑、黄色、黒。全部で五つあるらしい。」

この調子だと、一週間も経たずにあつめおわりそうだと安堵するもサルグ様の様子は何処か少し苦しそうだった。体調が優れないのだろうかと心配になり声をかけると2、3秒の間をあけて大丈夫だ、とだけ言うと元のサルグ様に戻った。

「一度方舟に戻るぞ。雫を安全な場所に移してから他の者を集めて成果を聞こう。」

サルグ様は私達の拠点であり家である方舟に向かって歩き出した。