獣の海と雫の方舟 (ページ12)

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１０話ページ12

前の襲撃は話を聞くだけでも、ひどく残忍(ざんにん)で、冷酷で、無慈悲なのがありありとわかった。どれだけの人が亡くなったのか、どれだけの血が町を染めたか、アディーもサクラもそのときは小さかったらしいがはっきりと鮮明に覚えているらしい。
最初は笑顔で話を聞いていたシズクも、暗い顔で黙りこんでいる。

「…襲撃だって、シズクの勘が、外れてくれるといいんだけどね…。」

あたりが騒がしくて良かった。こんな話を、みんなが聞いていて思い出したりしたら、せっかくの食事、味がしなくなってしまう。

「…まずは、軍事力強化…。今から遠征に行く人今行ってる人、戦力の半分くらいかしら…。もしそれが嘘…じゃなくて外れたとしても、備えは大事よね。」
「皆に食料と水の蓄えはあるとして。いつ来るかわからないからこそ、すぐにでも準備するべきだと私も思う。」

サクラとアディーは冷静に対策を練っていた。そういえば、俺はこの場にいる必要がないのでは？

…それにしても、入居早々に厄介な事が起こるかもしれないとは不運だ…。