忍の鉄則その二百三十二 ページ45
高坂「⋯ここでそれを見てもらいたい。その手紙を見た後に聞きたいことがある。」
するとここまで黙っていた高坂が暁にそう言った
「⋯」ビリッ
暁は高坂の指示通りに手紙の封を開けた。
高坂に従うのは癪だったが、今の実力では雑渡はおろか高坂にも負けることを理解していた為下手に逆らうことは無かった。
暁の分析では、神宮が居ない今この場のタソガレドキ忍者たちに自分が勝てる要素は万に一つもないと考えていた。
唯一、諸泉尊奈門だけならば勝てる自信はあったが、今の状況で一対一など出来るわけないのでその確信は暁にとってなんの意味もない。
「⋯⋯」
中には2枚の紙が入っており、暁は無言でそれを読み始めた
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じっくりとそれを読み込んだ暁は、必死に動きそうな表情を抑えていた。
それは何故か、暁にとって予想以上の情報がその手紙には書いてあったからだ。
まず、手紙には暁に向けた強い執着が書かれていた。だがこれはなんの興味もない暁はそこを読み飛ばし、次の話題に目を向けた。
そこには、村雨がかつて働いていた城、黎明城の殿について書いてあった。
村雨曰く、そこの殿は変わり者で忍者をとても重宝しているとの事。
忍者の育成を丁寧に行なっており、忍者について学ぶ場を設けてそこから自分の城の忍者を育てている。
しかしそんな黎明忍者は1度でも任務に関係の無い一般人に姿を見られると厳罰。姿を見た一般人を生きて逃せば極刑となる。
その分給料は他の城と比べ物にならない程貰えるが、村雨はそのしきたりが息苦しくて逃げ出したと。
後半は村雨の黎明城に向けた愚痴だったので軽く舌打ちをして読み飛ばした。
暁にとって重要だったのはその後だ。
手紙の続きには、黎明城の城主、
それが、神から授かった力を使っているという話らしい。それも村雨は上司から密かに聞いた話で噂などでは無いため、眉唾でもないと書いてあった。
暁はその話を読んだ途端、やっと情報を手に入れた嬉しさで背筋がゾクゾクとした。
しかしその感情を目の前にいる雑渡昆奈門らに気付かれない様にする為、徹底して無表情を貫いた。
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作者名:鈴村十四郎 | 作成日時:2022年3月6日 21時