忍の鉄則その二百十九 ページ27
《お前、思い切ったことしたなー》
利吉や舳丸が最悪来る事を想定し気を使った神宮が喋ることなく暁に語りかける
「はぁぁ⋯なんでこうなった」ボフッ
自分の布団に頭を
その表情は、後悔と不安、そして不快さで塗りつぶされていた
《お前が言い出したんだろ。まさか泊めるまでするとは思わなかったが》
「私だってしたくねぇよ。ただ、前の自分と寸分たがわぬ自分を演じたい。」
本音を言えば舳丸と利吉を家に泊めたくはなかった、人づきあいをしたくない今の暁にとって、面倒臭い事象でしか無いからだ。
《完璧主義者め》
「あぁそうだよ、こんな事でも自分に甘えて適当にしてたら神を殺す事なんて出来ねぇだろ」グッ
神という単語を出した暁の表情は固くなる。それほどまでに鬼神への憎悪が強いのだろう。
神殺しというこれまで誰もやったことの無い事をやろうとしている暁にとって、全てのことが妥協していてはいけないものとなってしまっていた。
「だが、それにしても疲れた⋯」
そういうと暁の表情は少しの疲れを見せた。
先程まで行なっていた過去の自分の真似が、よほどこたえたのだろう
《自分の真似して疲れるって中々ねぇ経験だな》
疲れきった様子の暁を見て、面白そうに笑う神宮。
「笑顔がダルい⋯」
《なんだこいつ⋯つーか暁お前、今まで聞いてこなかったが神殺しってどうやる気だよ》
そこで神宮は、誰もが気になっていたであろう疑問を暁にぶつけた
「⋯細かいことは何も決めてねぇよ。だが、恐らくまたアイツは私の命を奪おうとしてくる。
どんな手を使うかは知らないが、その時にアイツを殺す手がかりが無いか探す」
《だいぶザックリした計画だな⋯大丈夫かよ》
予想以上に適当だった暁の考えを聞いて呆れた顔を浮かべる神宮
「そもそもアイツがなんで私を殺そうとしてるのか分かってない。なんだってアイツは私に執着する?好きなのか??」
《好きで殺そうとしてくる神とか居たら嫌だろ⋯もしそうだとしたらお前はそういうのに好かれすぎた。》
"そういうの"というのは櫛雲隼人や辻斬りといった人物達の事だろう。
それを理解した暁は心底嫌そうな表情を浮かべた
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作者名:鈴村十四郎 | 作成日時:2022年3月6日 21時