【刀剣乱舞】私はお前達を救いたい 〜2〜

70話：蹴破ればいいのよ ページ31

Aside

薬「前田…秋田……乱っ！！」


薬研が檻に駆け寄る。

が、檻に触れた瞬間、バチッと電気が走るような音がした。


薬「クソッ…！もう一回『落ち着け薬研』っ！」


私は先走る薬研の肩を掴む。

『怪我が酷くなるだけだ』

薬「〜〜っ！あんたには関係ないだろ！？」

『いい加減にしろ』

薬「っ！」

暴走寸前の薬研を睨む。


『お前の気持ちはよく分かる。だが落ち着け』


少し落ち着いた薬研を骨喰に預ける。

そして、私は檻に近づき、札に触れる。


『…………』


檻に貼られた札は、確かに手入れ部屋に貼られていたものと同じ。

刀剣男士である薬研が触れた時、拒絶するような反応を見せた。

だが、審神者である私が触れても反応はない。


小「どうするの主？」

『そうだな……』


檻の出入り口にはビッシリと札が貼られている。

一枚一枚剥がすのは面倒だ。




『こうするか』



私は檻から一旦離れる。

そして、何をするのか予想できない3振を横目に、檻に向かって走り出す。









『オラァ！』









勢いをそのままに、右足を繰り出すと、ガキィンッという大きな音が響いた。

『もう一発！！』

今度は左足を繰り出す。

ガギャッという金属音とともに、檻の出入り口がバンッと倒れた。


『いっちょあがりってな』


3振に目を向けると、口を開けたまま固まっている。

まぁ、蹴破るなんて思わんわな。

薬研に至っては２回目だろうし。



私は檻の中に薬研と骨喰を促す。


我に返った2振は、すぐさま檻の中に入る。


薬「前田！秋田！乱！！」

骨「しっかりしろ！！」


2振が声をかける。


すると、「うっ……」という呻き声とともに、彼らの目がゆっくり開かれる。


乱「や……げん…………？」

薬「乱！ああ、俺だ！薬研だ！」

前「ほね、ばみ…にい…………さ、ん？」

秋「にい……さん………？？」

骨「ああ、俺だ。前田、秋田」


すると、乱達3振の頰を一筋の雫が流れる。


乱「やげ、ん！薬研！！」

前「うぅ…ほね…ばみ兄さん！」

秋「兄さん…ひぐっ……兄さぁぁん！！」


泣き出す3振を、薬研と骨喰が抱きしめる。

薬研と骨喰の目にも、涙が溜まっていた。




小「よかったね…」

『そうだな』


私は、小夜とその光景を見守っていた。

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