【刀剣乱舞】私はお前達を救いたい 〜2〜

69話：大好きな人間 ページ30

加州side

主達、大丈夫かな…

切国が心配だと言ってから約一時間が経った。

俺達は、ある程度掃除を済ませ、今は縁側に座って休憩中。

まだ戻って来ないってことは、やっぱり何かあったのかな？

安「清光」

加「ん？なに？」

安「主達、戻って来ないね…」

加「そうね」

安「その例の小屋に、何かあったのかな？」

俺と全く同じことを考えていた安定は、心配そうな顔をする。

俺もつられて同じような顔になる。






？「なんじゃぁ？審神者さんおらんがか？」





すぐ隣で聞こえた声に、驚いて反応する。


加「陸奥守…？」

陸「おぉ！直接会って話すのは久しいのう加州！」


満面の笑みでそう言う陸奥守。

確かに、面と向かって話すのは久しぶりだ。

でも、今の自分達の立場を考えると…






加「何か用事？できれば手短にお願いしたいんだけど」









そうだ。

今の俺と陸奥守は敵対状態にあるんだ。

油断はできない。



陸奥守は、そんな俺を見て少し気まずそうに頰をかく。



陸「いや、その〜審神者さんに話があってのう…」

加「主に？」

陸「そうじゃ」



すると、陸奥守はやけに真剣な顔をする。

こんな顔初めて見た…



陸「わしは、人間が"大好き"じゃ。



けんど、前の主のせいで、それが揺らいじょった。



人間は酷いことを平気でする、わしらをただの物としてガサツに扱う。



わしは、人間のことが"嫌い"やと思ったんじゃ」





ゆっくりと語り出す陸奥守の言葉を、俺と安定は黙って聞いていた。



陸「審神者さんも同じやと思とった。



けんど、全然違ごうた。



審神者さんは、とても優しい人じゃった。



あん人は一緒におるモン達を皆笑顔にしちょる。


加州達を見れば一目瞭然じゃ」



陸奥守は、まっすぐ俺と安定の目を見る。



陸「あん人は、死なせるには勿体無い存在じゃ。







じゃから、わしは"主"さんに味方したい。







わしの"大好きな人間"じゃしな」




嘘じゃない。

俺はそう直感した。

陸奥守は、本気で主の味方になりたいと思ってる。

俺にはそれがよく伝わった。




加「いいんじゃない？ま、どうするのかは主次第だけど」

陸「感謝するぜよ。加州」



主、できれば早く帰って来てね。

陸奥守が、主と話したいんだってさ。

俺は、その場にいない主に語りかけるように空を見上げた。

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