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出会いと悲しみ。 ページ9

「父上!」

「どうした?お前から訪ねてくるなんて珍しいな。」

ここは大鬼族族長の家。
その族長が使う部屋に赤鬼の少年が入ってきた。

少年は笑顔を浮かべ、今日の出来事を話していく。
その話している様子はとても楽しそうで、一緒に笑いながら時は過ぎていく。

「それで、森の中のひらけた場所をついに見つけたんです!青鬼とその場所を見つけた時は本当に嬉しかったんです!」

「そうかそうか、老鬼の課題は終わったか。さて、それはどこにあるのだ?」

「ここと暴風竜ヴェルドラの封印されている洞窟の間ぐらいの場所です。この里よりは狭いですか、草木が全く生えてない荒地です。」

それを聞いた鬼は少し目を見開く。
そんな場所今まで見た事が無かったからである。
でもこの森に住んでいる以上、どんな些細な事でも知っておいて損はない。

「(そんな場所…あったか?)…そうかそうか、その場所は老鬼には伝えたのか?」

「いえ、まだです。あ、それでですね父上!その荒地、女の子が住んでいるんです。耳が長いので耳長族かと思ったんですが、左目が黒色と赤色だったんです。珍しいですよね!」

目の事を聞いた途端、族長が赤鬼の子へと寄り、肩を掴んだ。

「…もしや、髪は銀色で肌は茶褐色ではなかったか…?」

子鬼は父親の手が密かに震えているのを感じていた。それを疑問に思いながらも、質問に答えた。

「はい。とても綺麗な銀髪で、茶褐色の肌の少女でしたよ?あと、俺たちに驚いて転んでしまって…治療したので大丈夫だと思います。」

族長は驚き、少年の言葉の意味を理解した。
そして悲しそうに少年に笑いかけた。

「そうか…すまない、痛かったか?許してくれ。」

「いえ、痛くはなかったですので、お気になさらず。」

子鬼はそんな様子を心配そうに見ていた。
子鬼の知っている大鬼は、威厳があり常に凛としていたからだ。

「もう夜も遅い、お前は寝なさい。もし話し足りないのであれば、また明日来なさい。」

「はい、父上。おやすみなさい。」

「ああ、おやすみ。」

そう言い子鬼は部屋を出た。

部屋に残った族長は密かに涙を流した。
声を出さず、静かに。

「A…お前は、死んでしまったのだな…なぜ、連絡をよこさなかったのだ…お前は私を友だと、言ったではないか…!」

静かに泣き続ける大鬼の手は、固く握られ少し血が滲んでいた。

「お前の思いは消えていないのだな…私の息子が、次代の少女の友となる事を願っているぞ…。」



文字数…

日常→←出会いの後



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あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
- この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時

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