闇耳長族・伝記集《ー序章ー第1節【闇耳長族の誕生秘話】》 ページ48
これは始祖竜が永い眠りについた後の物語。
ある草原に耳長族の村がありました。
その村は作物も豊かで、村人たちの笑顔が絶えない…そんな村でした。
その日は今年の豊作を祝い感謝する収穫祭が行われていた。
村人たちは皆それぞれを労い、老若男女問わず祭を楽しんでいました。
そんな村をある厄災が襲いました。
それは人間の村の襲撃でした。
祭を楽しんでいた村の人は襲撃に備えているはずもなく、村は滅ぼされ蹂躙された。
その中でも運が良かったのか悪かったのか生き残った個体がいたのです。
しかし、まだ年若い少女だった彼女の命の灯火は消えかけでした。
そんな彼女は自らを奮い立たせ、自身の流した血と村人たちの血を使い古より伝わる召喚術を行ないました。
結果、召喚は成功しました。
しかし少女は願いを小さな声で呟き、死んでしまいました。
召喚された悪魔はその少女の願いを聞き入れ、そしてその場にあった魂全てを食い尽くしました。
悪魔は実態を得るため、召喚者である少女の体に自ら入り込み地に降り立ちました。
実態を得た悪魔…はこの村を襲った人間を食い尽くしました。
人間の手や足、体…魂までも。
血で汚れたこの地は、植物が実らない死の地と化しました。
そして悪魔は気付いてしまったのです。
自分が元の世界へ帰る力が残ってないことに。
悪魔は力を得るために人間を食い続け、魔物さえも食べるようになりました。
その姿は魔物そのもので、人間にも…魔物にも恐れられるようになりました。
それでも帰るためには力が足りず、周りの生きとし生けるもの全てを食らうようになりました。植物や鉱物、魔力があるもの全て悪魔の食料と化しました。
そんな悪魔はある時、空腹を感じなくなりました。
何も食べていないはずなのに周りの植物は枯れ、人間は死んでいったのです。
そして悪魔は気づきました。
「あぁ、私は悪魔でも魔物でも亡くなったのだ。この世界に私という種族が誕生してしまったのだ。」
自らが生まれた世界に帰りたかっただけの悪魔は、帰ることができなくなり…生きているものの命を糧として生きる"バケモノ"に成り果てたのです。
本能的に、自らの種族を悟ってしまった"バケモノ"はこう名乗るようになりました。
「私は、闇耳長族……名をA」
この力は闇耳長族が死んだ後、なんの因果か最初の闇耳長族とそっくりの耳長族が生まれるようになり、力が受け継がれていくのである。
ー第1節ー 完
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あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
N - この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時