検索窓
今日:7 hit、昨日:56 hit、合計:260,384 hit

選択 ページ44

ーテンペストー

それは、スライムのリムル=テンペストが造った魔物の国である。

Aは今、その国にいた。

「貴女が闇耳長族であってるのか?」

「…その認識で大丈夫よ。」

「今この部屋にいるのに誰も倒れたりしないのは、なんでなんだ?」

「…私が、力を制御してるから。」

その淡々としたやり取りを、静かに見つめるテンペストの幹部たち…とミリム。

「…なあ、貴女が良いならここで暮らす手筈も整えられる。貴女はどうしたい…」

「…私の名前はAよ、貴女じゃないわ。」

その時少しだけ発動された【死ノ接吻】に、その場にいたシュナとシオン、ランガ、リグルド、ゴブタは顔色を変え崩れ落ちた。

「…ごめんなさい、力の制御が難しいの。だから、あまり苛立たせないで。あなたの部下が死ぬことになるわ。」

リムルは息を呑む。
つまり、今この場で部下たちの命を握られているのだ。

「(どうする…これ以上苛立たせるのは得策じゃなさそうだ)…わかった、A…あなたはどうしたい…?」

「別に…行くあてなんて、生まれてこの方持ったことはないわ。でも、こんな厄介な存在…ここに置いていいの?」

「…あぁ、でもその力が効かない者と一緒にいることが条件になるけどな。」

「そう…。わかった、どっちにしろ私がここにいた方が都合がいいんでしょう?」

Aはつまらなさそうに、肩のエンロクを撫でる。

「(大賢者、解析してくれ。あの人形はなんだ?)」

《解、食屍鬼(グール)、個体名:エンロクです。》

「エンロク?!!…あ、やべっ…」

急に叫んだリムルに、周りは驚き、そして不思議がった。

「…あぁ、エンロクと会ったことがあるのね。挨拶を。」

すると肩の人形は黒い霧に包まれ、エンロクへと変わった。
エンロクは膝をつき、リムルに頭を下げる。

『私はエンロク。闇耳長族、A様の僕にございます。』

「エンロクは私のよ。取ったら……ね?」

「取るつもりはない、安心してくれ。」

「そう、それならいいけど。」

リムルは己の軽率な行動に、冷や汗をかいた気分だった。

「それじゃあ、今日から俺の国の住人だ。住むところはこちらで手配するから、それまで…そうだな……「ハクロウお爺さんがいいわ。」…だそうだ。頼めるか?」

「わしで良ければいくらでも。」

「じゃ、決まりだ。各自持ち場に戻ってくれ。シュナはAの服を何着か用意してくれ。」

「…はい、リムル様。」

「じゃ、解散!」

ネムリヒメ→←闇耳長族・伝記集《芽生えた気持ち》より抜粋



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (111 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
299人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
- この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。