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Aside

目を開ける…見慣れた洞窟。

少し視線をそらすとエンロクが見えた。

「…エン、ロ…ク?」

『主人…よくぞお目覚めに。』

そうか、私は眠っていたんだ…
力が暴走しないように、この洞窟へと運ばれた。

また…誰かを殺すところだったんだ…。


不謹慎かもしれない…でも…

「また、会えるんだ…。」

そう思ったら、なんだか胸のあたりがホワホワして…でもチクチクして…どう言えばいいのかな…?

『…!主人、どこか痛むのですか?』

「…え?」

『主人が、泣いていらっしゃるので…』

その言葉で、涙が出てるのを知った。
その涙は地面に落ちて、小さな…本当に小さな水たまり。

「ねぇエンロク…。私、スライムさんの街に行ってみたいな。」

『…あの街にですか。』

「そう…でも嫌がられるかな…?だって闇耳長族だし。」

無理…だよね。

私なんかが行ったら、迷惑かけちゃう。

諦めよう。なにもかも諦めたら…きっと楽になる…まだ幼かったあの時でもできたんだから。
大丈夫…大丈夫。
私には…でき、る…はず。

「諦め…られない…。ベニマル君とソウエイ君に…会い、たいよ……私、弱くなったな…。」

『そんな事は…』

そう言ってくれるけど、エンロクは困った顔をしてて…やっぱり無理なんだ。

「…エンロク、行こう…今度はちゃんと旅をしよう。」

『…主人の仰せのままに。』

私は立ったんだけど、すぐに座ってしまった。

「足に…力が入らない…立てない。」

なんで、なんで立てないの…?!
立てなきゃ、ここから出ていけない…またあいつに捕まる…!

「…なにこれ…」

膝の下から足先まで黒く変色していた。

私はどうしたらいいの…一生をここで過ごすの…?
動けず…じっとして…この洞窟を腐らせながら?ずっと?

エンロクはいつのまにか、小さくなって私の肩に乗っていた。
小さな体で私を懸命に励ましてくれる。

その時…私に誰かの羽織がかけられた。

「そんな格好してたら、風邪引くぞ。」

「…ベニ、マル君。」

顔を上げると目の前に、赤い鬼がいた。

その瞳は優しく私を見つめて、大きな手は私の涙を拭ってくれた。

「さあ、行こう…俺たちが住む街。テンペストへ。」

ホワホワ→←先代



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あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
- この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時

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