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心の… ページ32

リムルside

「トレイニーさん。彼女は今どこに…?」

「…分かりません、伝言だけを言い残して行きましたから。」

ガタンッ

そんな音がした。音の発生源はベニマルだった。

ベニマルは何も言わずに、ふらふらと部屋を出て行った。それを咎めるものは、今この場にはいない。
そんな様子を見て、トレイニーさんは悲しそうに笑っていた。

「なんでそんな顔してるんだ?」

「いえ、あの子を大切に思ってくれている方が居たのかと…思ってしまって…。」

そう言ったトレイニーさんの頬には、涙がつたっていた。

解散した後も、夕食の時もベニマルは帰ってこなかった。



ベニマルside

あの伝言を聞いた後、俺は当てもなく歩いた。
そして気づけばAと初めて会った荒野だった場所まで来ていた。
俺は意味もなく、あいつがよく座っていた倒木に座った。

Aがこの森を出た。
胸に穴が空いたような喪失感。
あいつの笑顔が…手の感触が昨日のように思い出せた。

「なんで…俺に何も言わずに出て行ったんだよ…!」

目の前が滲み、手に水が落ちた。
ああ…俺は泣いているのか。

涙は俺の意思とは関係なく溢れてくる。
俺は、涙の止め方を忘れてしまったのかもしれない。

そこで俺は漸く気が付いた。
俺があいつに抱いていた感情が、友情では無かったことに。

俺は…あいつを…。

「俺は、好きなんだ…Aの事が、好き…愛しているんだ…。ははっ、こんな事になってから気づくとか…バカだな、俺。」

そんなことを考えていたら、目の前の木に穴が空いているのに気付いた。
その穴の中には、小さな赤い石が入っていた。
俺はその石を月にかざす。いや、体が勝手に動いていた。

『この石を見つけたのは、ベニマル君かな…それともソウエイ君?これはね、私の能力の副産物なの。だから、これを使って貴方たちにお礼を伝えようと思って。私とお友達になってくれて、本当にありがとう。』

Aの声が頭に響いた。
その声はとても穏やかで、澄んでいた。

『いつかまた、会える日を楽しみにしているね。その頃はジュラの森ももっと豊かになっているのだろうね。』

俺はいつかまた、あいつに会えるのだろうか。

『次会うときは、ベニマル君やソウエイ君は結婚しているのかな…?素敵な家庭を築いてる?……そんな未来の話したってわからないのにね。体に気をつけて…元気でね。』

そこで声は途切れた。

俺は、あいつにこの想いをぶつけてやる。
絶対に逃がしてやらないからな!

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あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
- この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時

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