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別れ道 ページ30

Aside

『…!…よ、あ…、じよ!主人よ!』

私はいつのまにか、夢中で負のオーラを集めていた。
今までこんな事なかったのに。

『どうされました、主人よ。心ここに在らずといった様でしたが…。』

「……エンロク。私、どうしちゃったのかしら。この頃、喉が乾くの…前と同じ命の量を食べているはずなのに…お腹が空くの。喉が乾くの。どうして…?」

『……主人。私には、お応えしかねるものです。私は主人ではありません故。』

「………そうよね、ごめんなさい。」

この頃、本当にどうしちゃったんだろう。
また、どこかの街を滅ぼしてしまうのかな…。
それは、嫌だな…。

「エンロク、食事は済んだの?」

『はい、豚頭族を数匹。これでなんとかなるかと。』

「そう…ごめんなさい、私のせいでこんな不自由な生活をさせてしまって。ダメな主人でごめんね…。」

『いえ、主人に出会わなければ、この様に体を頂くこともできなかったのです。そんな事を仰らないでください。』

エンロクは本当に優しい。こんな私でも付いてきてくれるんだから。

ここの戦いももうすぐ終わる。
私たちが話している間に豚頭帝がスライム君と一騎打ちをしていた。その光景は戦場とは思えないほど綺麗だった。

空の端からどんどんと明るくなってくる。
夜明けだ。

ー夜明けを見るのはいつぶりだろうか。ー

もう顔も覚えていない両親と一回だけ見たことがある夜明け。
こんなに綺麗だったんだ、なんで忘れてたんだろ…。

「エンロク、戻ろうか。」

『しかし、まだ終わっては…』

「終わったのよ。この戦いも、ここでの生活も…この地にいる意味も、全て終わった。だからね…」

エンロクは私が言いたいこと全部わかったみたい。

『…承知しました。では、今夜…日没と共にこの森を出立で宜しいのですね。』

「ええ。トレイニーに伝言…ってところが抜けているけど、それは大丈夫よ。もう終わってるから。」

もうこの地に足を踏み入れる事は、無いかもしれない。でも、この地以外でみんなに会うこともあるかもしれない。
そんな淡い期待を持ちながら私は歩き出した。

次はどこに行こうかな…この伝奇集に書いてある闇耳長族の起源の地に足を運ぶのもいいかもしれない。
私はもうひとりぼっちじゃない。私の事を友達だと言ってくれる人もいる。もう、これ以上は望まない。無くした時に悲しむのは…もう嫌だから。

「…さようなら。ベニマル君、ソウエイ君…ハクロウお爺さん。元気…でね。」

伝言→←変化



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あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
- この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時

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