決意 ページ26
ソウエイside
ベニマルと食料調達をしていた時、荒地でAと再会した。
Aは少女ではなく、美しい女性へと成長していた。俺が思わず見惚れてしまうほど…だと言ったらわかってもらえるだろうか。
先日は遠目から見ただけで、そこまで容姿はわからなかったが…。
「…、…に君、……青鬼君。ねぇ、大丈夫?」
「あ、あぁ…問題ない。」
「そう?ならいいけど……それで、ここには何の用で来たの?」
Aの肩に乗っているよく分からない生き物は、ずっとこちらを見ている。
それもそのはずだ、肩に乗っているのは俺の父親だった大鬼族だからだ。
「いや、仲間の食料調達だ。すまないな、またいきなり尋ねる形になってしまって。今はリムル様にベニマルの名を頂いた。だからベニマルと呼んでくれ。」
「俺もリムル様にソウエイの名を頂いた。好きに呼べ。」
Aは目を見開き、その後少し微笑んだ。
色が反転した左目は眼帯で隠されていたが、笑顔は昔と変わらないままだ。
「そう…名付けね…おめでとう。ベニマル君にソウエイ君。じゃあ、お祝いにこれあげるね。」
そう言ってAは小さな紫色の丸い石を差し出してきた。
「これは私が作った石なの。持っていても命は吸い取られないから大丈夫。…身代わり石とでも思ってくれたらいい。一回だけ…その石があなた達の命を守ってくれる。」
紫の石を俺たちに握らせた。
「じゃあ、元気でね…さよなら。」
「お、おい!まだ話したいことが…!」
そう叫び手を伸ばしたが、その手はAに触れる事なく空を切った。
まるで初めから何も無かったかのように、Aは消え、俺たちが立っていたはずの荒地は元の森の姿に戻っていた。
「まるで、狐に化かされた気分だ。」
「ああ、そうだな…。」
左手にはAから渡された石が握られていた。
この石だけが、ここで俺たちとAが再会したことを静かに物語っていた。
それから数日後、事態が急速に変化していく。
俺たちはリムル様と共に、豚頭帝討伐に向かう事となる。
脅威を取り除き、またベニマルやAと何気ない時間を過ごせるように…俺は懐に入れてある石を握り込んだ。
Aside
私は2人から逃げるようにしてあの場から離れた。
「ごめんね…もうこれ以上、ここには入れないんだ。ごめん…さよなら。」
そう言いながら、私は静かに涙を流した。
この涙は何のための涙なんだろうね…。
299人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「転生したらスライムだった件」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
N - この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時