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闇耳長族・伝奇集《復讐の慣れの果て》より抜粋 ページ14

あるところに小さな…けれど豊かな街がありました。
その街は色々な種族が暮らす、笑顔の絶えない素敵な街でした。

しかしそんな街をある厄災が襲いました。

その厄災とは闇耳長族のことでした。

そう、街の近くには大きな森があり、そこに闇耳長族が暮らしていたのです。

その街の住人から恐れられている闇耳長族が、ついに街にまでやってきてしまった。
されるがままに、住人たちの多くが命を吸収され息絶えました。
闇耳長族は自分の気が済むまで命を喰らい、何事もなかったように去っていきました。

生き残った住人は、ある者は家族を…ある者は恋人を失い、嘆き悲しみました。
そして住人たちの悲しみは、ある感情へと変化していきました。

怒りへと。

ある者はこの不条理に、ある者はこの厄災の原因である闇耳長族に。

彼らはこの厄災を引き起こした闇耳長族への復讐を決意します。
それが、亡くなった大切な存在への唯一の弔いと信じて。

怒りを糧に住人たちは闇耳長族を探し続けました。
それは容易なことではありませんでした。なにせこの世に闇耳長族は一人しかいないのですから。

それでも探し続け、ついに見つけたのです。

銀髪に茶褐色の肌、黒と赤の目。
まさに闇耳長族の特徴でした。しかし、住人たちは首をかしげました。
厄災を引き起こしたのは男の闇耳長族でした。
住人たちは困りました、なにせ見つけた闇耳長族はまだ年端もいかない少女だったのですから。

しかし、住人は罪悪感よりも復讐心が勝ってしまったのです。
いや、元から罪悪感なんて持っていなかったのかもしれません。

住人たちの目的は、闇耳長族への復讐。それさえ叶えば、ほかには何もいらなかったのです。

住人は少女を捕まえ暴力を振るいました。
少女にとっては身に覚えのないことを言われ、住人たちはその少女の顔が歪むたびに笑っていたのです。

端から見ると異様でしかないこの空間は、いつまでも続きました。

少女が気を失おうと、声をあげて悲しもうと誰も止めません。

これは復讐だ、すべて許されるんだ…そう狂ったようにつぶやき続ける人たち。
それが間違いだと気づくのは、もう少し後のこと。

「人間なんて、大っ嫌い…人間は私を見捨てた、もう嫌…みんな××じゃえ…!!」

そういった少女の体から負のオーラがあふれ出し、この街ごと包み込んだ時には…もう遅かった。


そのあと、その街を訪れたものが見たのは…幸せそうに笑っている。








住人たちの亡骸だった。

溢れる思い→←負の連鎖と声



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あたりめ(プロフ) - 水の町さん» ネタ提供ありがとうございます!なるべく早くリクエストにお応えできるように頑張ります!亀更新ですが、気長にお待ちください。(*´罒`*) (2019年2月9日 14時) (レス) id: 3df21f0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - すいません、下のコメント、変なところに「手」の文字がはいってました。間違いなので気にしないでください (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
水の町 - リクエストで、 ベニマルとソウエイが夢主にプレゼントをする→それを持ってると吸いとった命を消費して、他の生物に与えられるような力が手つかえる→それが嬉しくて力を使いすぎて夢主が倒れる→二人がめっちゃ心配する。そんなのが見たいです (2019年2月9日 10時) (レス) id: d63218b4c0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりめ(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます!「人工呼吸」聞いてみました!素敵な曲で主人公ちゃんのこと本当に思い出しました。素敵な曲を紹介してくれて、ありがとうございます。これからも頑張って執筆します! (2019年2月1日 21時) (レス) id: 809ccaf4f2 (このIDを非表示/違反報告)
- この小説なんか好きです!もし良いのなら「人工呼吸」という歌聞いてみてください。 (名前)ちゃんのこと思い出しますよ? (2019年2月1日 20時) (レス) id: 47989a0b29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あたりめ | 作成日時:2019年1月7日 18時

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