どんなに辛くても ページ10
「話って…? 志保…」
パタンと哀がドアを閉めると、真剣な表情になった。
「やっぱり…ジンは私の事を追ってる…?」
哀は不安で一杯だった。
笑っている時も、どんな時でも、組織に見つかったらと考えてしまうのだろう。
そんな哀の心を読んで、Aは正直に言う事にした。
今嘘を言っても、絶対に嘘だと思われ、哀を余計に不安にさせてしまうから。
「追ってるよ…。 志保、死んだ事になってるみたいだけど、やっぱりまだキレイさっぱり諦めた訳じゃないみたい」
ミステリートレインの一件で、コナンの案により、志保は死んだと思わせることが出来ていた。
ベルモットは哀の正体を知っている為、生きていることがバレたが、何故か組織に言っていないためジン達にはバレていない。
「! やっぱりそうよね…。 それとA…」
哀は一度言葉を区切り、Aの目を見た。
真剣に。 しっかりと。
「さっきも言ったけれど、Aは危険なマネをしないで!貴女まで失ったら…私は…」
哀の瞳は潤んでいた。
見た事がない哀の表情に驚いたAは、暫く目を見開いているが、頷くと、「分かった」と言った。
「でもその代わり、志保も死なないで。 死のうとしないで。 探偵団の皆とか? 友達がいるんでしょ? だったら、死なないで」
哀は、ふ…と笑う。
「貴女は何でもお見通しね…」
「今は心読んでないよ? どんだけ志保と過ごしたと思ってんの!」
「あら、私は貴女とそんなに過ごしてないと思ってたけど?」
「ひどっ!」
「…冗談よ」
たわいもない、明るい会話が続く。
2人が組織に居たときから変わらない、でも少しだけ明るく、優しくなったその会話。
Aは見違えるほど纏っている雰囲気が変わった哀に、一方の哀は、組織に1人で居ても黒にならないAに驚きながらも、再会できて嬉しいと感じていた。
「でもさ、志保。 やっぱり、どんなに辛くても死んじゃダメだよ。 組織に追われてる志保が邪魔だと思う人なんていないから」
そう言ったAは「しつこい?」と笑った。
「分かってるわよ…。 痛い程ね」
そう哀が微笑むと、Aも微笑み返す。
「良かった」
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桜芽(プロフ) - 0.001さん» コメントありがとうございます!
http://uranai.nosv.org/u.php/novel/kuro_nouryoku/
改作した作成が此方になります。話の流れや視点を変えているので此方も読んで頂けると嬉しいです!
了解しました!0.001様に満足して頂けるよう精一杯書かせて頂きます! (2016年8月12日 22時) (携帯から) (レス) id: 7bb21cc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
0.001 - 高評価させて頂きました。夢主ちゃんの危うい感じと組織とのやり取り…そして赤井さん、安室さん、コナン君との今後が気になります!魅せられるで頂いたお話、ぜひお願いします!!今後も応援しておりますので、苦にならない程度に頑張って下さい。 (2016年8月12日 22時) (レス) id: 813ac56b07 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 大分遅くなってしまいました! すみません! やっと読めることができました、とっても面白いです! それでは、改めてイベント参加ありがとうございましたm(_ _)m (2016年7月30日 19時) (レス) id: a702bf65e1 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー(プロフ) - めっちゃ好きこの作品! (2016年7月24日 8時) (レス) id: f645757c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜芽 | 作成日時:2016年7月22日 3時