優しい温もり ページ12
話終わると、空悟さんは無言のままだった
｢……こっちに来い｣
｢…え？｣
口を開いたと思うと手招きされ、空悟さんが座る向かい側まで移動する
｢何ですか……！？｣
また頭に優しい温もりを感じる
｢お前はまだ子供なんだ…何でも自分でしようとしないで、もっと人を頼れ｣
｢そんなの…｣
言われなくても分かってます、そう言おうとしたが声が出なかった
｢確かに一人で抱えれば相手に迷惑をかけない。だが、抱えすぎればお前のことを心配している人達の気持ちはどうなる｣
｢………あ｣
空悟さんの言葉で、大好きな幼馴染の二人を思い出した
『帰ろ…Aが危険を冒すことなんてないんだよ……』
『離さない…約束しただろ……
何があっても、お前の手は離さないって…』
コウキとヒカリが私の事を心配してくれていたことを分かっていた…分かっていたのに……
それなのに、私は………
｢コウキと…ヒカリの気持ちを……踏みにじった｣
口に出すと胸が苦しくなった
ボロボロと零れる涙を見ても、空悟さんは何も言わずに頭を撫でてくれた
今日一日で出るだけの涙は出たはずなのに…
謝りたい。ちゃんと正面からごめんねって…
｢あちらの世界に帰ったら謝ればいい…｣
優しい言葉に涙が止まる気配はない
やっぱり、空悟さんはかっこいいヒーローだな……
ーーーーー
｢落ち着いたか？｣
｢はい…おかげさまで｣
出てきそうな鼻水を啜り、近くにあったティッシュに手を伸ばす
｢一日でこんなに泣くことないから、すっかり水分不足ですよ｣
｢目の周りも赤く腫れてしまっているな…氷を持ってくるように頼もう｣
ゆっくりと立ち上がると、空悟さんは内線電話をかけ始めた
｢あぁ…氷を頼む……客人の目を冷やすためだ……あ？！別に俺が泣かせたわけじゃ……おい！！｣
内線を切ると、大きく息をついた
｢どうかしたんですか？｣
｢はぁ…少しうるさくなるぞ｣
首を傾げていると、ドアの向こうからドタドタと足音が聞こえてきた
｢｢シャチョーーー！！！｣｣
勢いよくドアが開き、数人が部屋に入ってきた
｢！？｣
｢全く…｣
驚いていると、空悟さんは頭を抱え出した
｢女の子泣かしたって本当ですか！？｣
｢しかも未成年！！｣
静かだった部屋は一気に賑やかになった
｢お前ら…少し黙れぇ！！｣
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作者名：猫ピース | 作成日時：2020年4月13日 18時
