短編集楽しんでってよ【d!】 (ページ6)

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●詐欺師の裏側　ci ページ6

A目線

教室に1人で残っていると肩をトントン、とされる。
振り返ってみると、幼馴染のチーノ。

ci「…なあ、俺って皆に…なんかしたん…？」

涙ぐみながら、幼馴染のチーノは私にそう言う。
別に何もしてないと思うけど。

A『なんかされたの…？』
ci「……チーノは詐欺師やから、近付かんほうがええって…」
A『…？チーノはすっごい素直じゃん。』
ci「俺やって、誰か騙した訳ちゃうんに…！」

ぼろぼろと大粒の涙を流してしまうチーノ。
私はチーノのアイデンティティである、瓶底眼鏡を取ってチーノの目を傷付けないように、優しく、優しくハンカチで涙を拭う。

ci「っ………ごめっ……」
A『何で謝るの？チーノは悪くないんでしょ？………チーノが悪くないの、私は知ってるよ。』

優しくチーノを抱き締める。
前にチーノが「悲しい時は誰かと一緒にいたい」とか、言っていた気がする。

ci「嫌やぁっ……皆に、嫌われとう、ない…」
A『大丈夫、大丈夫。きっと皆すぐ誤解だって分かってくれるよ。』

ズビズビ鼻を鳴らすチーノの背中を優しく擦る。
チーノはチャイニーズレッド色の瞳を不安そうに揺らしながら、私と目を合わせる。

ci「なあ、頼、むからAは、俺のことっ、嫌わん、といてやあ……」
A『私はずうっとチーノのこと大好きだよ。絶対嫌わない。』

チーノは私の肩に顔を埋めてしまう。
あーあ、可愛い泣き顔が見られなくなっちゃう。
まあ、大分いい所が見れたし、いいかな。

A『私だけは、チーノこと捨てないからね。』
ci「おん……」
A『ほら、目擦るのやめて？可愛らしいチーノの目が傷付いちゃうよ。ハンカチあるから。』

ci「あり…がとぉ…」
A『チーノ………』
ci「んぅ？なに？」

A『ううん、何でもないや。…………一緒に、帰ろっか。』

チーノは、私だけ頼ってればいいの。
私だけに守られてればいい。

ねえ、チーノ。
そんなに素直だから、馬鹿みたいに純粋だから、私みたいなのに好かれちゃうんだよ？

A『チーノ、好きだよ。』
ci「お、俺も…///」
A『私だけ、見ててね。』
ci「？…おん！」

絶対に私から逃げないでね、チーノ。
私から逃げたら私、死んじゃうんだから。
ううん、絶対に逃がさない。

逃げようとしたら、殺してあげるから。
私は、チーノの手を強く握った。