△三角関係△【太宰治】

05:愚か ページ5

帰り道。



「…はあ」



本日3度目のため息。

ため息ついたら幸せ逃げるとか知らない。


桃花とは家が反対方向なので帰り道は別だ。

今日は其れで良かったのかもしれない。


こんな感じで桃花と接することなんてできないと思うから。



「馬鹿だなあ」



喜んだって無駄なのに。



「なにが馬鹿なの？」


「ぅえっ…？！」



振り向けばそこには


「太宰さん…」



私の好きな人がいた。

私はさっと顔を下に下げた。

見てしまうともっと好きになってしまうから。



「探偵社から出てくAちゃんがいたからつけてきちゃった」


表情は見えないがきっと彼は笑っている。



「仕事は、大丈夫なんですか？」


「大丈夫。国木田くんにやらせてあるから」


いいのかな…

絶対ダメな気がする。

困惑している私に太宰さんが。


「と云うことで家まで送るよ。家どこ？」


唐突に、そんなことを云ってきた。


「だ、ダメですよ！先輩にそんなことさせられませんって！」


其れに、このことを知ったら桃花はどう思うか。

考えただけで冷や汗が垂れる。


「えー私は別に構わないのだよ？」



「太宰さんが良くても私がダメなんです！」



「上司命令でも？」


「其れはっ…、」


勢いで顔を上げてしまった。

その瞬間。


「やあっと、目が合った」


ニコリと笑う太宰さんと目が合った。

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