弐拾弐 ページ24
【NOside】
Aが目を覚ますとそこは五条の部屋で、自分はベッドの上にいた。
あのまま随分と寝てしまったようだと背伸びをして起き上がる。
五条の姿は見えないので何か用事かシャワーにでも行ったのだろう。
Aはふと昼間の出来事を思い出す。
「カエリタイ」と聞こえたのはおそらく彼らが呪霊と呼んでいる存在の声だ。
人の声に聞こえるかと言われたら首を傾げてしまうが、Aは声の主が子供のように感じたのだ。
最初聞こえた時は恐怖で身体が固まってしまったが、後から考えると本当は寂しいとか悲しいとかそういう感情だったのではないかと思った。
呪いは負の感情から生まれる……子供の感情から生まれたって何もおかしくはない。
途中から呪術の何も知らない自分がこんなに足を突っ込むよなことを考えてよいものなのかと不安になった。
温もりが欲しくなったAは伊地知の膝を借り、考えてはいけないと眠る選択をしたのだ。
けれど本当は五条が良かった。
猫になっているせいか鼻がよく利くようになってからは彼の匂いが一番の安定剤となっている。
だからこの部屋にいる間は常に安心するし、外に出ても彼がいれば平気だった。
家入や伊地知の匂いが嫌いなわけではないが、心の底から安心できるのは五条ただ一人だ。
Aは掛布団の中に潜ると小さく丸まった。
この中ならば常に五条の匂いがする。
すぐにでも寝られそうだと目を閉じるが、ガチャガチャとドアを開ける音がして布団の中から出た。
やはりシャワーにでも言っていたのか私服姿でサングラスをかけた五条がバスタオルを片手に戻ってきた。
五条「よく眠れた?」
Aはいつものように肯定の返事をしようとしたが、近付いてきた彼を見た瞬間にピッと身体が強張る。
無の表情…初めて見る顔だった。
いつもは基本笑っていてそれ以外の顔も見たことはあるが、何も分からない、何も感じない無表情は初めてだ。
否、感じなくはない…が、これも初めて感じる気配。
明らかに怒っている。
何かに対して。
その何かは分からないが、自分が関係していると察する。
A「五条さん…あの…」
五条「ねえ…」
勇気を振り絞って口を開いたが、彼の低い声ですぐに噤んでしまう。
五条「何で伊地知の膝に乗ったの?」
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Mami(プロフ) - 更紗和金さん» 遅くなってごめんなさい!続き楽しみにしてます (2022年7月9日 9時) (レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
更紗和金(プロフ) - Mamiさん» わわっ!嬉しい!恐縮です。ありがとうございます! (2022年6月11日 20時) (レス) id: b1ab373c3f (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 更紗和金さん» 寧ろ文才分けてほしいくらいです! (2022年6月10日 23時) (レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
更紗和金(プロフ) - Mamiさん» 自分ではちゃんとエロい感じになっているのか首を傾げながら書いているので、そう言っていただけると幸いです。ありがとうございます! (2022年6月3日 20時) (レス) id: b1ab373c3f (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 先生エロい感じが良い! (2022年6月2日 21時) (レス) @page31 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:更紗和金 | 作成日時:2022年5月20日 23時