74話 ページ26
ぼーっとしながら話を聞く。
顔だけは真面目なつもり。
眠くなってきたなーとか、寮長顔みてもピンとこねーなーとか、そんなことばかり思っていた。
アズールが何か交渉してるけど、まぁどうせその席は貰うんでこの人のことを覚えてなくてもいいだろう。
寮長になるくらいなのだからなんか有益な魔法とか持ってんのかなー、と考えていたら寮長が僕を見つめていることに気がついた。
隣のジェイドとフロイドがイライラしているのがわかる。見るくらいは許してやって。今の僕多分凄い間抜けだから気になっただけだよ。
とりあえず微笑んでおく。話を全く聞いていないため何があってそうなったのか分からないためとりあえず笑っておけばいいだろうと思ったからだ。
アズールが呆れた顔をしてる。多分僕は今選択を間違ったのだろう。
まぁいいや、どうせこのなんの取り柄もなさそうな人に取引で負けるとは思わない。
アズールが契約書を出したためもうすぐ終わりだと判断した僕は次は何するんだったかなと思考を別世界に飛ばした。
｢あの人もやはり寮長ということですか。
……A、あなた全然話を聞いていなかったですね。｣
｢あいつムカつく。Aを寄越せなんて。｣
なるほど。そんなこと言われてたのか。
｢Aもあんな事言われて笑うなんてさぁ。オレらから離れることになってもいいの？｣
｢そんなわけないじゃん。てか、負けるわけないじゃん？勝ちが見えてる勝負しかしないでしょ。｣
ニヤリと笑う。だってそうでしょ？
僕を担保に契約することになるとは思ってなかったけど。
僕の一言で空気が変わる。
ほら、もともと譲る気なんて無いくせに。
｢もちろんです。ただ、Aはもっと危機感を持った方がいい。｣
｢それには僕も同意します。必ず僕達が助けに行けるという確証は無いので。｣
｢でも、何かあったら来てくれるでしょ？｣
食い気味に当然だと言ってくれる3人。
だったらいいじゃん。
契約達成には学園長からカフェオープンの許可が必須だ。
どんな手を使ってでも成功させるしかない。
さて、今回は僕の役目はあるのだろうか。
学園長室をノックして返事を聞いてから入る。
アズールを先頭に、僕ら3人は後ろに控える。
まるでアズールが僕らのリーダーだな、なんて後ろ姿を見ながら小さく笑った。
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交渉中ほんと喋らねぇ…。
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作者名：黒梦 | 作成日時：2020年10月7日 0時
