199。夜景と共に ページ49
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微笑みながら立ち上がった彼は、アフレコ終わりとは到底思えないような綺麗な格好をしていた。雑誌の撮影の後みたいな…伝われ。
A「ありがとう。それと、遅れてごめんなさい。」
梅原「俺も今来たとこ。」
A「嘘つけ。」
梅原「1回言ってみたかっただけ(笑)」
椅子に腰かけると、すかさずウェイターがワインを持ってくる。頼んでいたのなら先に飲んでればよかったのに。
A「てか仕事は?」
梅原「無しになった…Aこそ。」
A「私も無しに…。」
梅原「……。」
A「……。」
梅原「誰だろうね。」
A「……ね。」
ぎこちない会話を何となく終わらせ、とりあえずグラスを持って乾杯した。後は、料理が運ばれてくるまで、話を繋ぐだけだ。
梅原「Aさぁ…。」
話題を提供しようとしたその時、私より先に彼が口を開いた。
かと思えば…
梅原「見ないうちに綺麗になったね。」
こんなことを言ってくる。
余裕が無い時に限って、ずるい。
A「っ……馬鹿じゃないの。」
梅原「ほんとのことなんだけど。」
A「い、言わなくていい…。」
梅原「言葉にしないと伝わらないでしょ?」
A「伝わらなくていい!」
男らしいゴツゴツした手でワイングラスを傾ける。カトラリーを使い分けて食事をする。その仕草一つ一つを久々に見たからだろうか、知らず知らずのうちに釘付けになっていた。
梅原「…ん、なに?」
A「…はっ!…ごめん。」
梅原「見とれてた?」
A「馬鹿言えっ……。」
梅原「ははっ。」
その後からはろくに顔を見ることさえできず、気がつけばデザートが運ばれてきた。海外にいた時に洋式のマナーを学んでいたから、困ることは無く、なんとか食事を終えた。
梅原「これから少し歩くから、化粧直してきたら?」
A「そうしたいけど、そしたら梅、その間に会計済ませるでしょ。」
梅原「残念。もう終わってる。」
裏をかいたつもりが、相手の方が上手だった。素直に化粧室に行き、リップを塗り直す。そして出てきた時は、お皿はもう下げられており、彼は何か難しい顔をしていた。
A「お待たせ致しました。」
梅原「…うん、じゃあ出ようか。」
コートを羽織り、マフラーを手にエレベーターに乗り込む彼の後に続く。てっきり、下に向かうと思っていたエレベーターは予想に反して上へ動きか出していた。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2021年4月2日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 一気読みしてしまいました…更新が約2年前で止まってる…とても面白くて大好きです。更新を楽しみにお待ちしています (2021年2月27日 0時) (レス) id: 07bc04b22c (このIDを非表示/違反報告)
武田(プロフ) - 凄く良くて一気読みしたのにい、1年前........更新待っております(;A;) (2020年3月17日 21時) (レス) id: 784988d0c1 (このIDを非表示/違反報告)
Mさん(プロフ) - とっても大好きな作品です!更新楽しみに待ってます (2020年2月1日 14時) (レス) id: cb08f97b02 (このIDを非表示/違反報告)
ここね(プロフ) - とても面白くて一気に読んじゃいました!更新待ってます、! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e268673743 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きう | 作成日時:2018年10月30日 0時