22.壁 ページ24
Aside
嫌な音。
出たくない。
そう思うけど出ない訳にはいかない。
私はリビングから出て廊下で電話を取った。
「もしもし、お母さん。」
『今日、夜中の一時にそっちに着きそうだから。』
もしもしすらない。名前も呼ばない。
それが当たり前。
「うん、わかった！気をつけてね！あ、お父さんは帰ってくるの？」
『えぇ、二人でそっちに行くわ。』
「本当に！？やった！二人ともって久しぶりだね！いっつも仕事忙しそうだもんね、お疲れ様！夜ご飯とか用意しておこうか？」
出来るだけ、機嫌を損ねないように。声のトーンを上げて。
『いいえ、いらないわ。』
「わかった！じゃあ待ってるね！」
『あぁ、そうだわ。明日学校行くわね。』
「うん！担任の先生から聞いたよ！楽しみにしてる！」
『えぇ。』
バイバイ、も。また後でね、も。何も無い。
プツッと電話が切れる音がした。
上手くできていたかな。
そんなふうに考えてリビングの扉を開けた。
「Aちゃん……。」
「ん？なに？レトさん。
みんなもすごい顔して……」
その時、私の体に誰かの体重がかかった。
レトさんが、抱きついてる？
「どしたの、レトさ……」
「なんで、Aちゃんなんやろうね。
なんで、Aちゃんじゃなきゃあかんのやろうね。
なぁ、Aちゃん、もっと遊ぼう？今日は俺らギリギリまでおるからさ。」
聞こえたのか。私の声が。親の声まで聞こえてないと思うんだけど。
声のトーンとかで悟った感じ？
「うん、遊ぼ遊ぼ！やったねー！」
私がそういうとみんなは苦しそうな顔をする。
「Aちゃん……」
「なぁに？レトさん。」
ねぇお願い。これ以上近づいてこないで。
私の心をこじ開けるなんて無理だよ。諦めて。
その意味を込めて笑顔を送る。
「っ、ううん。なんでもない。遊ぼ！」
レトさんも精一杯の笑顔を私に向ける。
それでいい。それで。いい。
だから、うっしー、清川くん、藤川くん、
そんな顔、しないで。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロミミ(プロフ) - 美怜さん» 全然ですよ！いい意見が貰えました！助かりました！今後の成長のために使わせて頂きますね。嬉しいです。有難うございます！これからも見てくださればうれしいです！ (2019年4月11日 20時) (
レス) id: 25617d98ae (このIDを非表示/違反報告)
美怜(プロフ) - クロミミさん» 本当に気分を害されたらすみません…これから本当にこの作品の応援をしていきますね！！(*^^*) (2019年4月11日 20時) (レス) id: a91e59d2ae (このIDを非表示/違反報告)
クロミミ(プロフ) - 美怜さん» 更新を頑張っていきたいと思っているのでよろしくお願いします。 (2019年4月11日 19時) (レス) id: 25617d98ae (このIDを非表示/違反報告)
クロミミ(プロフ) - 美怜さん» するんですけど、色々と伝わっていないということが分かりましたので、もう少し工夫をしていきたいと思います。私だって凡人ですよ！私みたいな文才のない者が書いた作品をわざわざ読んで頂き、わざわざアドバイスまで下さってありがとうございました。これからも (2019年4月11日 19時) (レス) id: 25617d98ae (このIDを非表示/違反報告)
クロミミ(プロフ) - 美怜さん» なるほど。確かにそうかもしれませんね。私的には主人公がそれほどに皆に気を許しているというか、理解し合ってるという感じのことを伝えたくてそういう書き方をしているのですが、上手く伝えられていないようですね…。主人公視点をあまり書かないのもこだわりだったり (2019年4月11日 19時) (レス) id: 25617d98ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クロミミ | 作成日時：2019年2月9日 22時
