検索窓
今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:13,561 hit

【第五十二話】夜分遅く【暁月まつり】 ページ7

星が瞬く夜分遅く。

月明かりに照らされた屯所に、忍び寄る影が。

明るい茶髪に色素が薄い茶色の瞳。

暁月まつり、その者である。

何かと旅に出ては帰らないまつりは、新撰組に嫌われている。

否、嫌われるために旅に出ているのだ。

彼女の心理は明らかではない。

ただ、時折光る右目に、絶望と罪悪感と諦めが宿っているのだ。

それにしても…。と、まつりは考える。

静かすぎる、まぁ夜分遅いのだが。

見張りは殺したし、その点は大丈夫だ。

ただ、会議が行われていないのだ。

ただでさえ、仕事熱心な彼等。

こんなに静かなのは不思議で仕方がない。

暫く考えた結果、たどり着いた答。

「何か合ったんだな」

そう呟くと、音をたてずに自室に向かった。




相変わらず綺麗な自室。

相当世話好きな女中がいるのだろう。

着ていたはっぴを脱ぎ、さらしをほどき、スカートも脱ぐ。

軽い着流しを羽織ると、月を眺めた。

今夜は大きな月が出ている、そのためか彼女は口ずさんだ。

「右足失い、左手失い、右目を失うかわいこちゃん。憎い右目を、欲しい右目を、偽りの右目に変えましょう…」

はぁ…とため息を付き、等身大の鏡の前にたつ。

右目だけが、まるで硝子の様に輝いていた。

【第五十三話】騒がしく【北城 透】→←【第五十一話】様子【藍咲神輿】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.2/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

蛇庵(りあん)(プロフ) - 続編いきました! (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
蛇庵(りあん)(プロフ) - しのっちさん» わかった!続編いくね。 (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 蛇庵(りあん)さん» ……りあん、そろそろ続編にいった方が良いかもぉ…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……手直しする…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……終わった…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蛇庵(りあん) x他4人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年4月24日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。