【第五十二話】夜分遅く【暁月まつり】 ページ7
星が瞬く夜分遅く。
月明かりに照らされた屯所に、忍び寄る影が。
明るい茶髪に色素が薄い茶色の瞳。
暁月まつり、その者である。
何かと旅に出ては帰らないまつりは、新撰組に嫌われている。
否、嫌われるために旅に出ているのだ。
彼女の心理は明らかではない。
ただ、時折光る右目に、絶望と罪悪感と諦めが宿っているのだ。
それにしても…。と、まつりは考える。
静かすぎる、まぁ夜分遅いのだが。
見張りは殺したし、その点は大丈夫だ。
ただ、会議が行われていないのだ。
ただでさえ、仕事熱心な彼等。
こんなに静かなのは不思議で仕方がない。
暫く考えた結果、たどり着いた答。
「何か合ったんだな」
そう呟くと、音をたてずに自室に向かった。
相変わらず綺麗な自室。
相当世話好きな女中がいるのだろう。
着ていたはっぴを脱ぎ、さらしをほどき、スカートも脱ぐ。
軽い着流しを羽織ると、月を眺めた。
今夜は大きな月が出ている、そのためか彼女は口ずさんだ。
「右足失い、左手失い、右目を失うかわいこちゃん。憎い右目を、欲しい右目を、偽りの右目に変えましょう…」
はぁ…とため息を付き、等身大の鏡の前にたつ。
右目だけが、まるで硝子の様に輝いていた。
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蛇庵(りあん)(プロフ) - 続編いきました! (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
蛇庵(りあん)(プロフ) - しのっちさん» わかった!続編いくね。 (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 蛇庵(りあん)さん» ……りあん、そろそろ続編にいった方が良いかもぉ…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……手直しする…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……終わった…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
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