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【第八十二話】嫌な予感、命中【暁月まつり】 ページ36

物心つく頃から、道具だった。

お金を集めるための、ただの道具だった。

家族のような暖かさも、愛に満ち溢れた雰囲気も。

彼女には無関係だった。

お金を集めるための道具だから。

何もかも出来なきゃ“人間”じゃ無くなるから。

彼女は失った。

右足も、左手も。

遠慮なく、切断した。

だけれども、彼女は死んだ。

使い物にならなくなったから、死んだ。

それが、一回目の死亡だった。






今思えば、千代のことは嫌いではない。

好きって言うわけでもないけれど、嫌いではない。

むしろ、心配なのだ。

だから、素っ気ない態度を取り続けた。

結果は、とてつもなくないことになってしまったけれど。

でも、だからこそ、心配なのだ。

彼女は死んでいない、まだ生きている。

死んだ私のは言う資格はないけれど、それでも、千代には生きてほしいのだ。

口では言えないけれど、心配しているのだ。

ふと、違う色を感じた。

明らかに、誰かに強い殺意を感じている。

彼女はだから、庇った。

自分の身を呈しても、家族の雰囲気を壊したくなかった。

まつりに、沢山の刃と銃弾が突き刺さった。

「がはぁ…」

口から血をはく。

身体の隅々に穴が開き、地がこぼれる。

痛々しいのに、まつりは笑を浮かべていた。

そして、千代達の身体を突き放した。

「逃げて…!!…速く!!」

どさりとまつりは倒れ混んだ。

千代達の姿を見送ると、静かに目を閉じた。

右足と左手だけ、血が流れなかった。







暁月まつり。



四回目の死だった。

【第八十三話】ここは【虹輝 彗】→←【第八十一話】ちょっとちょっと【暁月まつり】



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蛇庵(りあん)(プロフ) - 続編いきました! (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
蛇庵(りあん)(プロフ) - しのっちさん» わかった!続編いくね。 (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 蛇庵(りあん)さん» ……りあん、そろそろ続編にいった方が良いかもぉ…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……手直しする…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……終わった…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蛇庵(りあん) x他4人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年4月24日 16時

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