【第七十九話】嫌な予感と不安【赤滝 紅緋】【赤水 蓮】 ページ33
「はい。情けな、コホッ……ことですが、私も言い過ぎました。それで、今新撰組の方々が探しに出ているのです」
「それのどこが緊急事態なんだ」
意味が分からないと言わんばかりに顔をしかめる紅緋。それと同時に、薬と水、それと手ぬぐいを盆に載せた藤玄が入ってきて、間もなく手ぬぐいで蓮の口元と手を拭った。申し訳ないですと、眉を下げる蓮。それに、紅緋は申し訳ないと思うならそんなことするなと内心思ったのはここだけの話である。
「お名前をお伺いしても大丈夫ですか」
「蓮です。赤水、蓮。ご迷惑おかけして申し訳ございません」
だから、迷惑と分かってるならやるなって、と紅緋は頭を抱える。蓮は、日に当たると吐血してしまう。なので、普段は日が出ている間は屯所で寝ているはずなのだが……。
水と薬を口に含み、落ち着いたのだろうか。蓮は一息つくと再び紅緋に視線を向けた。
「コホン、話を戻しましょう。先ほど、私は新撰組の方々が探しに出たといいました」
「あ、ああ……言ったな」
「つまり……それは日之の警護が手薄になるという意味を指します。そんな都合のいいときをあいつが見逃すと思いますか?」
それに紅緋の目が大きく見開かれた。あいつとは……つまり、黒紫である。紅緋は顔を無に変えた。
「私の予想が当たれば、間違えなく黒紫が動いた場合、戦力を減らしにかかってきます。そうすれば状況は一気にこちらが不利になるでしょう。
なので、紅緋さんには千代さんの捜索にあたってほしいのです。彼女が今、心を開けるのは貴方だけでしょう。他の私たちが行っても彼女の傷を抉るだけだと思います。
先ほど、屯所の兵に警護を固めるようにということと、一部の兵には体長たちの収集に回ってもらいました。しかし、彼らは優しい方々が多いですから恐らく千代さんのことはひっかっかるでしょう。そこで、貴方に協力を求めに来たのです」
「……なるほど、な」
紅緋は蓮の言葉に顎に手を当てた。そんな紅緋を見てすうと藤玄は目を細める。紅緋といえど、傷は完全に完治していないのだ。しかし、なんだろう。ものすごく嫌な予感がする。
「よし! 引き受けた!」
「感謝します。それじゃあ、私は寝ます。すいません」
そう言って、蓮は魂が抜けたかのように眠りに付いた。
間もなく藤玄は紅緋を食い止めようと、大きく口を開く。が、見えたのは緋色の髪のみ。
要約すれば、紅緋は治療所を脱走して今に至る。
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蛇庵(りあん)(プロフ) - 続編いきました! (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
蛇庵(りあん)(プロフ) - しのっちさん» わかった!続編いくね。 (2016年5月3日 20時) (レス) id: 09ec081b29 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - 蛇庵(りあん)さん» ……りあん、そろそろ続編にいった方が良いかもぉ…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……手直しする…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
しのっち(プロフ) - ……終わった…… (2016年5月3日 20時) (レス) id: 56a4443702 (このIDを非表示/違反報告)
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