動揺と秘密ごと ページ14
アオは静かに焦りを覚えていた。アオには誰にも、仗助にも言えない秘密を持っている。言ってしまえば恐らくここから離れてしまわなければならないような大きな秘密である。そしてその印は左の横腹に付いている。ジョースター家の証として左の首筋に星のマークがあるように、アオもまた、その横腹に全てを悟らせるものがある。ジョースター家の人々のように背負うものは軽かろうが、それでも一般人が背負うには重すぎるものである。
「チッ…分かってるよ。」
アオは小さく悪態をついた。アオにつけられたその印や傷は戒めるものである。自らが周りに気づかれるとなるとき、それらはじくじくと傷は痛み、印は締め付けるようだった。
アオは晒した体を隠すように服を着た。地味で、仗助の隣に並べば地味すぎて霞むような服である。
しかしアオにとっては服装は大して問題ではないのだ。何故ならアオは外には出ることが出来ないのである。仕事は客がこっちまでやってくるのを待つしかない、買い物や食料は本家から支給される。
まるで籠の中の鳥であるが、それに逆らえば何をされるか分かったものではない。
「俺はこのまま死ぬんだろうなア。」
自嘲するようにその言葉を吐いて、アオはまだ雨が降りしきる外の闇をぼんやりと眺めていた。
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作者名:伊達狐 | 作成日時:2019年2月2日 23時