7.タイムリープ!? ★ ページ8
✱✱
-美琴 side-
武道と別れたあと、僕は駅の方まで歩いていっていた。
さっきの武道……なんで泣いてたんだろうか?
それにいつも突っぱねてくる武道とは違うし……
「あ!ヒナのとこに勉強道具忘れてしまった!」
僕は急いでヒナの家まで走っていった。
そしてマンション前の公園を通ろうとしたとき、武道の声が聞こえてきた。
「あれ?あそこにいるのは、武道とナオトくん?」
2人がいる方へ歩いていって、武道は僕が近づいていることに気づかないままナオトくんに喋っていた。
そしてとんでもないことを耳にしてしまうのだった。
「ぶっ飛んだ話だけどよ、2017年の今日……オレ、駅のホームから線路に落ちてさ。死んだと思って気づいたら中学生。12年前の今日だった」
2017年……?
僕は訳の分からないまま、武道の話を近くに隠れて聞いていた。
「これってなんて言うの?」
「タイムリープ!!?」
「そう!!それそれ!」
タイムリープ……?そんな馬鹿な話……
「長ぇー夢、見てるだけかもしれねー……けどさ。
きっと……神様が最後にもう一度、橘と姉ちゃんに会わせてくれたんだ……」
そう喋っている武道は、なぜか大人に見えてしまっていた。
見た目は中学2年のヤンキーなはずなのに。
武道の言うことにナオトくんが疑問に思った。
「え?どういうこと?」
「12年後の7月1日、
オマエの姉ちゃんは死ぬ」
えっ……12年後にヒナが死ぬ……?
「そん時、オマエとオレの姉ちゃんも一緒に死ぬんだ」
ヒナだけでなく、ナオトくんや僕も12年後に死ぬ!?
「武道、どういうことだ!?」
「姉ちゃん!?え、ナンデ!?」
「あ、美琴さん……」
「今の話は本当なのか!?武道!」
僕は武道の肩を掴んで、真剣な表情でじっと見つめた。
武道は僕が突然出てきて、今の会話を聞いていたということに驚いてるんだろう。
「あぁ、本当だよ……」
「そうか……わかった。僕は武道を信じる」
「え!?信じてくれるの!?」
「当たり前だろ?僕は武道のお姉ちゃんだよ?」
「姉ちゃん……」
あーあー…
また泣き出しちゃって……
しょうがないなぁ、僕の弟は。
「ホラ、これで拭きな」
カバンからハンカチを取り出し武道に渡した。
武道は涙を拭い、一呼吸ついて落ち着いた。
.
158人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くろっきー | 作成日時:2021年10月16日 13時