似た者同士。【月永レオ】 (ページ38)

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「なんでもなにも…ただ危ないと思ったからだ。あのときはたまたま、おれが通り掛かったからよかったけど…次同じ目にあっても、おれが助けてやれる保証なんて無いし、誰かが助けてくれる保証もない。」

「……それは、そうだけど…」

月永が言わなくても、よかったんじゃないの？
その言葉が出てきたが、ぐっと心の中に押し込めた。

「みょうじはさ、もう少し学院内での自分の立場を自覚するべきだ。おまえはあんずと一緒。特別な立場なんだよ。わかりやすく言うと…そうだな～… 狼の群れに、羊が放り込まれたって感じ！みんな獲物を狙うのに必死なんだよ。たった二匹しかいないんだからさ。」

「なんか、零にも似たようなこと言われた。……というか、一匹の間違いじゃない？あんずちゃんだっけ、あの子可愛いしなんでも出来そうな顔してたし、みんなその子に夢中でしょ。私が注目されてても、その場限りだよ。」

ないない、と手をぱたぱたと振って否定する。
零から注目されてるだって聞いて、納得したよ。私だって逆の立場だったら、きっと、女子生徒がどんな奴でも注目しただろうし。
けど、そんなブームなんて一瞬で去る。中身がつまんない奴なんて尚更。
男子だって、人間だってそんなに馬鹿じゃないから。

……けど、なんでだろう。
ひがみっぽいな、私。今言ったこと全部が。

「わはは、嫉妬か？」

「違うし。……いいよね、月永は。基本的に何でもできるでしょ？顔もいいし、性格も悪くない。あんたには多分一生わからない気持ちだよ。」

はぁ、とため息をついて上を向く。

…半分八つ当たりじゃん。馬鹿だな、私。
月永はしばらく黙っていたが、大きなため息をついて…私の頬を、両手でむぎゅ、と挟んできた。