｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿参. (ページ17)

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望めぬ春の心得違い＿＿参ページ17

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眉を顰め｢何言ってるんだ｣と言わんばかりのでっぷりした男は、その狭い矜持に触れたのか憤り怒号を挙げた。コハルも顔を真っ青にして｢A様逃げて！｣と叫んでいる

目の前に扉間の教え子が捕まってるのに逃げの選択は無い。Aは清々しいまでの笑顔で

｢いやぁ〜あんたツイてるよ＿＿＿＿あたしも丁度この自分じゃ解決出来ない感情の発散相手を探してたんだわ｣

｢は？＿＿＿＿イ"ｯ"ｯ"〜！？！？｣

言葉を言い切った瞬間
自分はガニ股で突っ立っている男の金的を思いっきり踵で蹴り上げた。酷く鈍くミシリ…と聞くに耐えない音が辺りに響く

途端男はコハルを手放して己の金的に手を当てて縮こまり脂汗が噴き出ていた。男相手では体格差でまともにやっても勝てない、集落街もそうだったがそれなら急所を狙えば良い。人間いくつも急所を持っているのだから。例えば他に

｢喉仏｣

｢グハッ…⁉︎ヒュ、あ、が…⁉︎｣

喉仏を懐刀の鵐目金具で強く打ち付ければ相手は呼吸困難、酷い時は喉内部に損傷を受ける

｢こめかみ｣

｢ｯｯ‼︎｣

こめかみを鵐目金具で打ち付けば平衡感覚の麻痺
他にも耳の後ろで突起している乳様突起も似た効果を得る

一番の急所を打たれた上呼吸器官と平衡感覚を失った男に、自分は器用に懐刀を回しながら耳元で煽り囁いてやる

｢おいおい忍でも無い相手に何やられっぱなしなの？あんた夜の相手じゃ立ち役だろ、ちょっとは踏ん張ってみせろよ図体がデカいだけのサンドバック君？｣

｢ｯ＿＿＿！｣

｢おーおー偉い偉い！手で捕まえようとしたのは褒めてあげるけど……残念、あんたの攻撃(アタックステップ)はここで終わり＿＿＿＿だ‼︎｣

ゴシャアｯｯｯ‼︎と言う聞くに耐えない音が男から鳴り出した

何をした？簡単だ、人間の急所で最もダウンさせられるであろう"顎"に膝蹴りをかましてやっただけ。散々やられた男に最早防ぐ術は無い。Aの膝蹴りをまともに喰らい相手は泡を噴き出して仰向けに倒れ伏したのだった

懐刀をしまっていると…ふいにキラキラとした視線をコハルから向けられている事に気付いた。……何かその視線、元の世界で中学の頃の後輩と似たものを感じる

｢助けて下さって有り難う御座いますA様！あの…その…もし良ければ…｣

(…ちょい待ちまさか)

｢｢御姉様｣と呼ばせて下さい！｣

｢………｣

まさか別世界でも｢御姉様｣と呼ばれる羽目になるとは。ちょっと頭を抱えた自分であった

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