｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿参. (ページ16)

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望めぬ春の心得違い＿＿弐ページ16

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｢ｯｯ⁉︎｣

その言葉を聞き流せて普通に受け取れるほど
Aは鈍感でも無ければ天然でも無いし頬かぶりも出来ない

(え…あ…え…？ほ、火影よりも…あ、あたしって言った…？？？？う、うそ…)

顔が、体が、熱い

マダラと目を合わせられず思わず下を向いてしまう
恐らく自分は今ガッチガチに体を強張らせて顔も耳も熱に浮かされて林檎以上に顔が真っ赤になっている事だろう。こんな顔絶対見せられないし見せたく無い

だって…勘違いしてしまうじゃないか
早鐘の様に鳴る心臓と共に溢れ掛ける期待＿＿＿＿＿＿火影を断った理由が｢Aと一緒に居られる時間が減るから｣なんて、そんなの、

(｢好き｣って言われているようなもんじゃんｯｯ……！駄目…無理…心が…｢好き｣が決壊しそう…)

目の前に居るのは｢推し｣なんだ
この世界に来て実際に生きている彼に小説の｢夢｣を見てはいけない

あの二文字を言うな

｢恋情｣を抱いてしまったら……"あたしはマダラに刃を突き付けられなくなる"

｢＿＿＿＿＿いやｯｯ‼︎やめて‼︎離してよ！誰か助けて！！！！｣

｢ハッ！この声…ごめんマダラ会計しといて！あたし助けに行ってくる‼︎｣

｢お、おい！A‼︎｣

マダラの静止を聞かずにAは店を飛び出して駆け出した。こう言っては"助けを希う少女"に悪いがあの空気を壊すのに丁度良かった、あのまま居たら今後に支障が生まれるだろう

｢あたしは最低だな｣と自嘲して助けを求めた少女……"コハル"の下に辿り着く。十歳の彼女の首を覆う様に捕まえている相手は身長の高い男、全体的にでっぷりとしていて醜い顔にはいくつか傷痕が残っており何処か某世紀末舞台の北斗のナンタラを連想させた

｢おいそこの暴漢野郎、コハルを離せ｣

｢A様ｯ！｣

｢あ"あ"？なんだぁおめぇ？A…？
…あぁ、この里で騒がれてる忍でもねぇくせにチヤホヤされてる奴かぁ。丁度良い、この小娘と一緒に"夜まとめて可愛がってやるよ"｣

里が出来て以降｢戦が減り始め力を発散する場所がなくなった｣故に当て場所が無くなった者達がちらほら出始めたが、この男の場合女を適当に捕まえて夜の相手をさせるのか

その無駄にデカい図体で自分の体なら兎も角
幼いコハルが相手させられたら心も体も壊れるに決まっている。それを理解して尚彼女を連れて行こうとしているなら…

｢正真正銘の"ドクズ野郎"で良かった！
あんたが"あたしのサンドバックになってよ！"｣

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