｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿参. (ページ15)

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望めぬ春の心得違い＿＿壱ページ15

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｢ん〜！こし餡団子美味〜！珍しいねマダラが自分から甘味処に連れてってくれるだなんて？いつもはあたしが言わないと行かないのに｣

｢そりゃAが行く時は大抵この店の店主から強請られた時だろーが。柱間の奴もそうだがお前は押しに弱い処をそろそろ治せ｣

｢えー…？別にあたしは治さなくても良くない？｣

柱間が扉間に連行された後Aはマダラに連れられて、里で一番初めに出来た甘味処に訪れていた。此処はダンゾウと崖の頂に行く際店主に声を掛けられた店でもある

開店して以来、この世界に来る前から甘い物が好きなAは何度か嫌々なマダラを引っ張って連れて来ては一緒に食べたり帰りに夕飯のデザートに買って来たりとお得意になっていた。政務でこの一ヶ月間遠のいていたがまさかマダラが連れて来てくれるとは…彼には今日だけで二度も驚かされてる気がする

｢ねぇ…マダラ｣

｢なんだ？｣

｢柱間からの推薦、本当に断って良かったの？
火影って確かに忙しい忙殺の勢いの様な役職ではあるけど…｢里の皆を見守る｣って役目もある。あたし達が昔森を一望したあの崖に顔岩を彫っていつまでも覚えて貰えるし、マダラには火影になれるその権利があるんだよ…？｣

串を皿に置きAはマダラの顔を見た

｢火影にならない｣事が原作の正規ルートではあるがやはり気になってしまって駄目だ。悪魔の囁きだ。そんなの解ってる。けれどAが大名に胡麻擦りして初代火影の席を二つにして貰えば今迄の彼の苦労も悲しみも報われるのではないだろうか？

｢……｣

瞠る事も無ければ悔しそうな顔もしない
ただAの真剣な顔にマダラはフッと笑い出した

｢わ、笑う事無いでしょう⁉︎｣

｢イヤこれをどう笑わねぇでいられるかよ
火影ってのは忙しい上に彼処にデケー自分の顔が彫られるんだろ？ならオレは何度お前や柱間に頼まれようが火影にはならねェ｣

｢どうして…？｣

マダラだって里創設の立役者なのに
火影になればあんな結末を迎える事だって無かった筈なのに

するとふと頭に重みを得る
その正体が彼の手である事にすぐ気付いた
Aの頭をポンポン、と軽く撫でながらマダラはこう告げるのだ

｢…大勢の里の人間達よりも今は目の前のモンを最後まで守り抜きてェ。それに＿＿＿＿＿"火影になるよりもA、お前と居る時間の方がオレにとっては大切なんだよ"｣

｢え……？｣

それはとても思い掛けなくて
自分は大きく目を瞠らせたのだった

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