その少女は(noside) ページ26
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??「ふーんふんふん〜♪」
ヴァニタスでも一番の森林地域であるそんな場所には少し大きめな家があった。赤い屋根に白の土壁は何処かの童話にでも出てきそうだ
その家の主の一人なのか…緑を基調としたロリーターワンピースに黒のシューズ、頭には長く大きなリボン。黄色のふんわりとした長い髪の少女は鼻歌を歌いながらテーブルに紅茶やケーキを並べていく
見た目からして遥や零雄と同じくらいだろう
それはそれは楽しそうにお茶の用意をする彼女は可愛らしい顔立ちの何処かに狂喜を感じる
向かいに大きな兎の縫いぐるみを座らせると、満足する様に笑って自身も席に腰を下ろす。絵図らとしてはさながら物語にありそうな終わらない御茶会だ
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??「んー、やっぱりウサギさんだけ居ても御茶会がちっとも楽しくないなぁ。猫さんも帽子屋さんも居ないしぃ……」
口を微かに膨らせて呟いてみるがその声は森の静寂に溶けていく
返される声は無く
少女は紅茶を含んで喉を潤すと楽しそうな顔から一変、つまらなそうな顔をする
言っては悪いがこんな音さえも吸収されてしまいそうな森は本当につまらない。よく此所の主は幼い頃から住んでいられるものだ、自分なら賑やかな街の方に家を移すだろう
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??「迷い込んで来た
んもうっ、どれもこれも
そう言って、少女はプンプンと怒る
この場には居ない忌々しい誰かを思い出して、それをハートの女王と名付けてまで
…少女は……一体何者だろう?
黄色の髪は何処か光沢があって、立ち振舞いは彼女を世間一般の人間と同視してはならない様な気がする。もっと上、お嬢様とか高貴な人間の様に見えてしまう
じゃあ…迷い込んで来たのは一体どちらだ?
穴から落ちてきた様に、ぐにゃぐにゃと色んな道を走ってきたのは、兎を追い掛けてやって来たのは、本当に
もしそれが、魔法が解けてしまって逃げたままなのであるならば……
すると少女は立ち上がった
窓を見つめ、家の主が帰ってこないか待ち惚けながら
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??「フーティアちん早く帰ってこないかなぁ?"あの計画"、そろそろなのに」
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作者名:黒神白堊 | 作成日時:2017年6月15日 20時