science710 ページ49
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エ｢フ＿＿＿ハハハハハ、まさかお前が出てくるとはなぁ。葛城の奴こんな隠し球を持っていたか｣
太｢た、助けて！助けて！｣
エボルトの嘲笑に似た笑い声と太郎の恐怖に震える声が木霊する
ただ無言で佇む自分は黒装束の裾を幼馴染みにすがる様に掴まれても何も反応しない。茫然としていると言うよりも心ここに在らずと言った方が近いだろう
だが何故だ
何故、神浄喜怒哀楽が此所に居る？
(本当に俺は…あの時この部屋に……)
来たのか？
自分が覚えていないのは、記憶が"消されたから？"
この部分のみ？どうして？一体何の為に？
エ｢しっかし葛城も人選を誤ったなぁ｣
｢……？｣
エ｢こいつは万丈龍我を決して殺さない。殺すのは＿＿｣
喜怒哀楽？｢……､｣
太｢ヒッ!!｣
エ｢＿＿＿神浄喜怒哀楽の人間関係経由で選んだ、
太｢ぎ、ギャアァァァァァァァァァァｯｯｯｯｯ!!!!｣
その時＿＿白刃の刃が、刀を抜いた喜怒哀楽から逃げる様に背を向けた佐藤太郎の心の臓を確かに＿＿＿＿＿＿＿貫いた
｢さ…ちゃ……｣
起きた状況に、喜怒哀楽は目を疑った
即死だ、彼を中心にみるみる赤い水溜まりが形成されていく
心臓を貫かれて生きている人間など居るまい
即死なのに目の前で刺した当人はそれを引き抜いてエボルトから渡されたナイフをその背に突き刺した。最早動かなくなった幼馴染みを茫然として見つめた喜怒哀楽は心の中でポツリと思う
(俺が……殺した…)
喜怒哀楽が佐藤太郎を殺した
これは紛れもない事実なのだ
エボルトでもなく、自分自身が幼馴染みを殺した。桐生戦兎の顔として選ばれたのはただ自分と繋がりがあったからに他ならない。
……
｢あ…ああ…俺の…俺のせいで……!!｣
心の底から闇よりも深い何かが此方を覗く
ソレは水を得た魚の様に、"まるで喜怒哀楽がこうなる事を待ち望んでいたかの様に"勢いよくせり上がって＿＿＿
??『＿＿嗚呼、愚かなり。愚かなり、人の子よ。』
＿＿＿深く深く響いたその声が耳許で聴こえたその時、喜怒哀楽は闇に呑まれた
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作者名：黒神白堊 | 作成日時：2018年7月10日 18時
