science237 ページ16
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戦兎が強化アイテムを持って
会場まで向かっているであろう中
喜怒哀楽と紫苑は全く違う方向へと向かっていた
彼に着いて行かず、しかもカモフラージュになるものに
入れないまま刀を腰に下げて何処に行くのか
呑気に鼻歌何て歌っている喜怒哀楽に紫苑は問い掛ける
紫「何処に行くの喜怒哀楽兄?」
「鍋島の家族が捕まってるっつー所
怖かったら行かなくても良いぞ?」
紫「行くよ!熾織姉から片時も離れるなーって言われてるし!」
「心配症か彼奴」
熾織が妹の様に紫苑を可愛がってるのは知っているが、態々頼む事でもあるまい
逆に行き先すら告げずどこかに行ったあっちが心配だ
つい一年くらい前まで術師の仕事且、
一部私情を含んだ用事で家を留守にする事が多かったが
今回ばかりは些か疑問が多い
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(考えてもキリがねぇって事解ってるんだけどなぁ)
術師協会の人間でもない自分は
何処までもただの人間に他ならない
熾織や紫苑が今までどんな脅威と
対峙してきたのかだって喜怒哀楽は一切知らないのだから
歩きながら黙々と物思いに耽っていると
紫苑は物珍しそうに言った
紫「…喜怒哀楽兄ちょっと変わった?」
「はぁ?」
紫「だって今から鍋島の家族助けに行くんでしょ?
一海が向かっているにも関わらず自ら進んで
誰かを助けに行くって今までの喜怒哀楽兄なら無かったかもーって」
「桐生戦兎至上主義の人が他の人にも目を向けてくれて嬉しいな」と嬉しそうに笑う紫苑に嘘偽りはない
思わず白衣がズレ落ちそうになったが
必死に押さえつつ首を傾げる
と言うか戦兎至上主義って何なんだ
そんな風に見えていたのか齢13の少女には
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「難波のやり口が気に食わねぇから
ブッ飛ばしに行くだけだ、そこに善意もクソもねぇよ
エゴだエゴ、自己満足」
善意は無い筈だ、きっと
やり口が気に食わないのは本当だし
いつまでも思い通りだと思うな、と思ったのも事実
第一自分は暗殺者だ
長らく人を殺してはいないとは言え立場としては悪と同義だ
そんな奴が行う事に善意も正義も無い事くらい喜怒哀楽は知ってる
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「…ま、あんな涙流されちゃあな
今日ばっかりはタダでお仕事してやるよ」
そう呟いた自分の横で紫苑おかしそうに笑っていた
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桃 - 面白いです!!頑張ってください!! (2018年7月19日 21時) (レス) id: a20db0fe37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒神白堊 | 作成日時:2018年3月31日 17時