子ノ福音書 (ページ4)

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非日常の延長線上＿1 ページ4

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｢ハッ…！此所、は｣

気が付いた時にはAは都心の様な場所に居た

人の往来が激しく、如何にも東京らしいと
思ったのはこの景色を前に"夢"で見たからだろう

電工掲示板から流れる1991年と言う数字

新宿駅の改札から出てくる人達の格好は少し古めかしい

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｢1991年…新宿…｣

20世紀末、1999年を8年後に控えノストラダムスの大予言で騒がれてたその時代

過去だった

1991年何てAは未だ生まれてすらいない
受胎すらしていない

それにしても、

(いつものと違う。夢にしては妙に"リアル"な…)

二月特有の厳しい寒さが肌を突き刺す
吸い込んだ酸素が喉を通りそれがとても冷たい

"本当に体感している様な"そんな感覚だ

今までの夢は外から画面越しに
見ているものに近かった

でも、今見ている夢はその時代を体験してしまっているが如く＿＿

(……？)

そこまで考えて、自分は違和感を覚えた

訝しげな表情でショップのショーウィンドウへ目をやる

ガラスが鏡の役割をしてくれている
ショーウィンドウに映っていたのは勿論自分の姿だ

跳ねっけのある亜麻色をした短めの髪に、黒曜石にも似た瞳

黒地に白のラインが入ったテーラードを袖を通さず肩に掛け、襟詰めの白シャツの上に薄色のセーター、白のスラックス、黒色のエンジニアブーツ

紛らわしい格好と容姿端麗な顔立ち
更にはハスキーな声もあって男にしか見えない自分

その右手にはマスターである印の
盾を模した令呪が刻まれている

｢……｣

そして漸く納得した
どうやら……"現実"らしい

何故か？そんなの簡単だ
此所に御代Aと言う個体が存在してしまっているのだ

今までは、自分と言う存在は劇を見る観客と同然だった

観客は舞台の鏡に映るか？
通行人役の人間と擦れ違いられるか？
否、どちらも出来ないのだ

それこそ劇の舞台にでも上がらない限りは

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｢レイシフト紛いの状態か、つまりは
特異点もないのに何故＿＿

＿＿＿＿いや…あのいくつもの夢が正しければこの東京には｣

"聖杯"がある

そして今、日本の都市では各々が願望機を欲して『聖杯戦争』が繰り広げられている筈だ

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