返り討ち中編 ページ17
美桜乃は化粧ポーチの中から気に入ったものだけを手に取り、ポケットの中に押し込む。
「えぇ……そんなにとっちゃうのぉ?僕気に入ってたのにぃ……」
アルムが唇を尖らせて非難するのを横目に、美桜乃は化粧ポーチを右手に掴みトイレの窓を全開にした。
「あっ……」
アルムが言葉を発する前に、化粧ポーチを窓の外に投げ捨てる美桜乃。
「あぁ〜!あの中にパパからのプレゼントも入ってたのにぃ。パパに怒られちゃう!」
「ごっめーん!ちょっとした遊びのつもりだったのに、手が滑っちゃったのっ!」
美桜乃がわざとらしく笑みを浮かべる。
「遊び?物を上から投げ捨てる遊びがあるのぉ〜?」
アルムは本気にしたのか顔をしかめて首を傾げる。
「この遊び知らないんだ。でもこの高さだし、化粧品全部粉々になっちゃったかも?でも、西園寺グループの一人息子だしこれぐらい別にいいよねぇ?」
美桜乃の言葉に、私としおんは目を見合わせて笑った。
いい気味。どう……?3人をこけにしたこと許さない。
でもね、しおんと美桜乃のこんなイジメはまだまだ序の口だから。
「ひっどーい!!」
アルムは少し怒ったような表情を浮かべる。
「つーかさぁ、自分が呼び出されたこと分かってんの?」
見ていたしおんがアルムの前に歩み寄った。
「僕のこと遊びにさそってくれたんでしょう〜?」
「ハァ!?」
思わず口から心の声が漏れた。
「ねっ?そうなんでしょう〜?遊ぼ!遊ぼ!」
再び目を輝かせるアルムに心底呆れかえる。
この子の考えていることが1ミリもわからない。
純粋なのか天然なのか、それともそのすべてが偽りで計算高い子なのか。
西園寺アルムという人間がいまいちよくわからない
「じゃあ、そういうことにしといてあげる」
美桜乃はふふっと笑うと、掃除ロッカーからモップを取り出した。
そして、バケツに水を貯めるとその中にモップを入れ西園寺を睨んだ。
「学校にいる間は親なんてなんのあてにもならないんだから」
美桜乃は水を含んで汚れたモップをアルムの顔に押しつけた。
「くさぁーーーい!!」
可愛い顔を歪めるアルムを見て心の中にスーッと爽やかな風が吹く。
そう!そうよ!!こういう顔よ!!
昨日、バカにして笑っていた西園寺の苦しんでいる顔を見て気持ちが昂る。
もっと。もっと苦しめてやらないと
「私もやる!」
「ふふっ。シズカってやる気ね?」
美桜乃の手からモップを受け取り西園寺の顔や頭を中心的にモップを擦り付ける。
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夢喰いオバケ(プロフ) - *はなまる*@キチ同盟さん» ありがとうございます!!続編明日書く予定なので是非見てください!では、2で会いましょう (2017年8月17日 16時) (レス) id: 89b27ea165 (このIDを非表示/違反報告)
*はなまる*@キチ同盟(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後までドキドキさせていただきましたwいい意味で裏切られた感じがします。続編に期待しています。お疲れ様でした! (2017年8月16日 11時) (レス) id: 99309147cc (このIDを非表示/違反報告)
夢喰いオバケ(プロフ) - 紫稲さん» ありがとうございます。次回作はもっと主人公君を進化させようと思ってます! (2017年8月14日 11時) (レス) id: 89b27ea165 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰いオバケ(プロフ) - 黒月さん» ありがとうございます。2はこのあとボチボチ書こうと思います。 (2017年8月14日 11時) (レス) id: 89b27ea165 (このIDを非表示/違反報告)
紫稲(プロフ) - お疲れ様でした。最後にタイトル回収…成る程、「復讐のレクイエム」とはそういう意味だったんですね…。次回作も期待しています! (2017年8月13日 20時) (レス) id: a941132408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢喰いオバケ | 作成日時:2017年8月3日 16時