返り討ち中編 ページ18
「水が足りないんだけど!さっさと水くんでよ!!」
自分が濡らされると分かっていながらバケツの水をくむのはさぞ応えるだろう。
「うぅ……口の中にお水がはいっちゃったよぉ。気持ち悪いよぉ」
顔を歪めながらも、アルムは言われた通りにバケツに水を汲んだ。
そうだ……。この様子をスマホに撮影すれば後々何かにつかえるかもしれない。
スマホを取り出し、カメラを起動させる。
「……ちょっと、水まだなの!?」
美桜乃が叫んだその瞬間、アルムはなみなみと水の入ったバケツを掴み上げて体を斜めにひねった。
「いっくよぉ〜!」
アルムがニコニコと楽しそうに笑う。
「ちょっ、嘘でしょ!?」
そう叫ぶが早いか遅いかわからないうちに、アルムは私たちに向かってバケツの水を勢いよく放った。
その水は私達3人の制服を濡らした。
「冷たい!!」
、
スマホにまで水がかかってしまった!!
「――アンタ、こんなことしてどうなるか分かってんの!?」
美桜乃が鬼のような形相を浮かべて叫ぶ。
でも、アルムは微動だにせず、ニコニコと笑っている
「ち、ちょっと!起動しないんだけど!?」
真っ暗な画面のスマホを睨みながら何度も電源ボタンを押す。
「えっ〜?見せてっ!!」
あたふたする私にアルムはひょいっとスマホをかっさらった。
そして、にこりと笑いかけると私に背中を向けて駆け出した。
嫌な予感が体中を駆け巡る。それは本当に一瞬の出来事だった。
アルムは窓ぎわに駆け寄ると、そのまま何の躊躇もなく窓からスマホを投げ落とした。
「そんな……嘘でしょ……?」
地面に叩き付けられたスマホが平気なわけがない。
「わぁ〜!落ちた落ちた!スマホがおーちーたぁ!!」
キャッキャと飛び跳ねて喜ぶアルムを押しのけて、私達3人は窓の外を覗き込んだ。
地面にはスマホと思われるものが壊れて散乱していた。
頭が真っ白になり、心臓だけが不快な音を立てる。
どうしよう。今日帰ったらどうやってお母さんに説明しよう。
もう二度と、スマホなんて買ってもらえないかもしれない。
「マジかよ」
美桜乃が顔を歪める。
「信じられない!!アンタ、自分がしたこと分かってんの!?」
アルムの肩を押して責める美桜乃を呆然と見つめることしかできない。
「最新機種のスマホ弁償しろよ!」
美桜乃の言葉にハッと我に返る。
そうだ。そもそも悪いのはアルムだ。スマホを壊したのは私じゃない
アルムに弁償してもらえれば、お母さんに怒られずに済む。
14人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢喰いオバケ(プロフ) - *はなまる*@キチ同盟さん» ありがとうございます!!続編明日書く予定なので是非見てください!では、2で会いましょう (2017年8月17日 16時) (レス) id: 89b27ea165 (このIDを非表示/違反報告)
*はなまる*@キチ同盟(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後までドキドキさせていただきましたwいい意味で裏切られた感じがします。続編に期待しています。お疲れ様でした! (2017年8月16日 11時) (レス) id: 99309147cc (このIDを非表示/違反報告)
夢喰いオバケ(プロフ) - 紫稲さん» ありがとうございます。次回作はもっと主人公君を進化させようと思ってます! (2017年8月14日 11時) (レス) id: 89b27ea165 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰いオバケ(プロフ) - 黒月さん» ありがとうございます。2はこのあとボチボチ書こうと思います。 (2017年8月14日 11時) (レス) id: 89b27ea165 (このIDを非表示/違反報告)
紫稲(プロフ) - お疲れ様でした。最後にタイトル回収…成る程、「復讐のレクイエム」とはそういう意味だったんですね…。次回作も期待しています! (2017年8月13日 20時) (レス) id: a941132408 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢喰いオバケ | 作成日時:2017年8月3日 16時