復讐のレクイエム

返り討ち前編 ページ16

緑川 シズカside

「それいいわね！たまには良いこと考えるじゃんしおん。」

翌日、アルムをイジメようと提案してきたしお

ん。私は美桜乃と目を会わせてお互い微笑んだ。
「実は、あいつってば野村と悪口いってるらしいぜ」

「……ハァ？なにそれ、どういうこと？」

すぐに美桜乃が食いついた。恐らくしおんの事だ。ヒートアップさせたいのだろう。

「この間、聞いちまったんだ…それに西園寺アルムだけ、特別扱いとか気に入らねー」

「まあね。ちょっと思い知らすか」

「賛成〜！ちょうど休み時間だし、西園寺の所にいってみようか〜？」

美桜乃と私は勢いよく立ち上がる。

単純な２人を動かすのは簡単だっと言わんばかりな顔をしている荒杉を私はスルーした。

私同様、２人は日頃からうっぷんをため込んでいる。

それを学校内で晴らしているのだ。

「西園寺さん、ちょっといい〜？」

廊下で歩いていた、西園寺に美桜乃がにっこりと微笑みながら話しかけた。

「わぁ！美桜乃ちゃんだ！なぁに？」

何も知らない西園寺アルムは私達に気付くなり、キャッキャと笑った

アルムをトイレに呼び出すと、トイレ内にいた生徒たちが不穏な空気を察して一斉に散っていく。

「私達の悪口言うとかなめてんの？」

美桜乃が威嚇したように言う。

「まさか！言うはずないよぉ〜！」

美桜乃の言葉にもアルムは動じる気配がない。

それどころかどこか楽しそうに目を輝かせているようにも見える。

「でも、言ってるって人がいたんだよね〜。それで私は傷付いたわけだし、お詫び貰うから」

「ん〜？？」

美桜乃はそう言うと、アルムの手の中のバッグをひったくった。

「あれれ〜」

アルムは目をぱちくりさせる。

『バッグも持ってきて』

アルムがトイレに行こうとした時、しおんはそう指示した。

野村の時みたいに盗るのだろう。

美桜乃はバッグのファスナーを開けると、バッグを逆さまにして振った。

中から財布や学生証や化粧ポーチが転がる。

ニヤリと笑う美桜乃。美桜乃は一流ブランドの財布を手に取ると、勝手に中を見た。

「私丁度金欠だったんだ〜これ、お詫びとしてもらっておくから」

美桜乃は２、4枚の万札を引き抜いてポケットに押し込んだ。

物色はまだ終わらない。

化粧ポーチを開け、中を確認する。

「これ、先月発売されたやつじゃん何で男のあんたなんかが持ってんの？」

「あ〜、それまだ誰にもお化粧してないやつ〜」

「…ふーん」

美桜乃は興味無さそうに呟く。

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