目 ページ11
sideゾム
「ゾムさんはいなくなっちゃうの？」
そう聞いてきたAの目は、冷たくて、
全てを見透かしたような、そんな目をしていた。
『何言ってん？どうしたん？』
あくまで平然を装って返した。
「…なんかゾムさんがいなくなってしまう気がしただけ…」
それを聞いて俺は苦笑した。
お互いそういう所は鋭いらしい。
俺の苦笑に疑問を抱きつつAは続けた。
「あのね、ゾムさん。私お屋敷で言わなかったことがあるの。」
『なんや？』
モゾモゾとソファで思考しながら、けれども一生懸命に何かを伝えようとするA
一体何を伝え逃したのだろうか。
「私ね、ゾムさんがね……」
その言葉の先を想像して、俺は顔を赤らめた。
と、同時に口に出さないで欲しかった。
『…A、辞めてくれ。俺はお前にそれを言われる資格なんてない』
つい口からこぼれ落ちた感情はAに対する罪悪感。
全てを奪ってまで俺が手に入れたかったその言葉を、俺はもう受け取れる気がしなかった。
だって君が見てる俺は、偽りに近いものだから。
本当の俺は死ぬほど汚い。
好きな子を手に入れるためなら、その子の親だって殺せてしまう。
しかもその両親への罪悪感はない。
あるのはAを泣かせてしまったこと、両親はAが幸せになる橋だったのに、その橋を壊したことに対する罪悪感。
君と会った時俺は君をおかしいって思った。
でも俺もおかしかったんだ。
叶わない恋に、願ってはいけない恋に、思いを馳せて、全てを壊して、奪って、あたかもそれに悲しむ君の唯一の理解者であるかのように振舞って……
Aとはもう会わない。
そう決めたことで戻ってきた正常な思考のせいで、ごちゃごちゃになってしまった頭は、Aに言いたいことのひとつも告げさせてくれない。
視界が滲んでいく。
本当は離れたくない。
今まで俺がAにやってきたことが全て間違ってたとしても離れたくない。
だって俺、Aのこと好きやもん。
ずっとAの横に立って、Aの笑顔をみていたかった。
それが出来なくなったのは身分のせいだけじゃない。
俺が間違った選択をしたせいだ。
俺自身がその未来の選択肢を潰した。
理解してしまった頭がさらに視界を歪ませる。
耐えきれずに下を向いても、下に水滴が落ちていくだけで一向に視界は治らない。
するとトテトテ音を立てながらAがこっちにやって来た。
泣いてるところなんて見られたくなかった。
それなのにわざわざAは下から俺の顔を覗き込んで、俺の頬に両手を当てて自分の方を向かせた。
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green(プロフ) - 転生後が見たいという欲が出てしまいました！ (2022年12月8日 6時) (
レス) @page16 id: 6733124b51 (このIDを非表示/違反報告)
うり - 泣きました…。最高に感動した、、俺は歪んだ性癖なのでこういう4ネタ？大好きです、、最後は幸せだったんだろうなぁ (2022年5月2日 11時) (レス) id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つきまる | 作成日時：2018年7月4日 1時
