毒 ページ10
「…………。」
言葉はすんなりと出てなかった。
«好き»なんて簡単に呟くことは出来るのにそうはさせてくれないのだ。
代わりに彼女の心の中で浮かんでくる言葉のは否定ばかりでAは泣きそうになりながらも、言葉を伝えようと口を開ける。
「す……」
そこで止まる。
時計の針が一秒ずつカチカチと音を鳴らして、どれだけの間があるかどうかを測っているようにさえ錯覚するほど、静寂に包まれていた。
「き。」
漸くAの口から漏れた告白は、とてもぎこちなくたどたどしい。
そんなAにニッコリと微笑み話しかける太宰の表情は優しかった。
「四年もの月日が流れてるものね、でもね変わらず私は好きだよ。却説、もうそろそろお昼だから御飯を作ってあげるよ。」
「私が、作りますよ……?」
異物混入に恐れたAが遠慮がちに云ってみるが、太宰が「大丈夫。」と云ったため引き下がることにした。
毒や自白剤は嫌という程酷使されてきたから効きにくいので問題は無いと自負しているが、太宰の作るそれは非常に拙いものだと分かってるからだ。
以前少量と云って豆粒程のカプセル一つだけ睡眠薬を飲まされたことがあった。
本来なら2万錠程飲まなければ死ねない睡眠薬は
たったカプセル一つでも死ねるのではないかと思えるような代物だとAは記憶している。
身体が気怠くなり、頭が働かなくなる
目を開けているのがやっとという状態だ。
そして目を瞑る直前で、症状を消す効果のあるものを打たれた。
このまま目を瞑っていれば一生目を開け無かったかもしれないと思うと情けなくも«恐怖»という二文字が直ぐに浮かび上がる。
そんなこともあり、厨房にたった太宰を注意深神経を研ぎ澄ましているAは太宰が黙々と材料を切りはじめたのをじっと見つめていた。
蟹缶しか食べぬ男と覚えていたAにとってその姿はとても物珍しい姿だった。
「っ」
どうやら包丁で自分の指を切ったらしく、人差し指から紅くドロっとした液体が流れる。
それをみたAは遠慮がちに声をかけるのだ。
「……大丈夫……ですか?」
「大丈夫。思ったより痛かっただけだから」
「そうですか。」
この時には故意に指を切った太宰のことなど、知りもしなかった。
(私の好きな人が私の血を飲んだ、とすればどれほどの満足感が得られるのだろうね?)
＊
太宰さんお誕生日おめでとう！
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新那@pixiv小説参戦予定(プロフ) - サラサエビさん» ありがとうございます泣サラサエビ様そう仰って下さると嬉しいです、これからも楽しみにしてくださいね( ´ω` )/ (2017年7月2日 21時) (
レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
サラサエビ - 太宰さんとヤンデレ…最高の組み合わせです！大好きです！これからも楽しみにしていますね(^-^) (2017年6月22日 23時) (レス) id: daadec8c31 (このIDを非表示/違反報告)
新那(プロフ) - 楪風香さん» 楪風香様評価ありがとうございます!本当ですね!!嬉しくて言葉が出てきません……楪風香様の作品読ませて頂いてます何時も通知が来る度に楽しみにしています!!まさか、コメント下さるとは夢にも思いませんでした(><)コメントありがとうございました (2017年6月21日 22時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
楪風香(プロフ) - 101票目をポチッとな！面白いです！殿堂入りおめでとうです(o^―^o)ﾆｺ (2017年6月21日 21時) (レス) id: 86c9c0f128 (このIDを非表示/違反報告)
新那(プロフ) - すたさん» バレた(/ω＼*)、ありがとうございます！そう言ってくださると嬉しいです (2017年6月20日 0時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：新那 | 作成日時：2017年6月12日 20時
