名 ページ8
黒い帽子を右手に持ち、膝をついて頭を下げながら報告をするのは中原中也。
その目の前にいるのは西洋人形の様に可愛らしい幼女を膝の上に乗せて報告が終わるまで真剣に聞いているのは首領である森鴎外だ。
「首領、結果的に申し上げますと
中原のものの言い方に首領と呼ばれた森は、
「おや」と片眉を上げ言葉を漏らす。
損害を被る程の事件では無いと判断していた森にとってこの
「構成員が一名恐らく攫われました。」
「それは誰かね?」
「Aです。」
幼女は小首をかしげ、そしてハッとしたように手を叩くと笑みを浮かべたのだ。
子供の洞察力は高いとはよく聞くが、中原は目を丸くした。
「ならダザイね、Aの事を部下の様な目で見てなかったわよ勿論。それはチュウヤも一緒。それに気づいたダザイが行動を起こしたのね。」
「……エリス嬢……」
ふぅ。と森は息を吐くと、エリスと呼ばれた幼女の髪を撫でて中原の顔を見つめながらAについての情報を頭の中で整理している最中であり、最適解を弾き出したのか口を開ける。
「困るねぇ、あの子もう少しで階級を上げようかと思っていた頃だったんだけどね。中原くん暇があれば捜査にでもあたってくれるかい?
太宰くんの目につかないように慎重にだよ。」
太宰がAを中原から遠ざける為に誘導をしている最中の出来事だった。
▽ ▼ ▽
「目に見える鎖はねつけない事にしてるんだよ。だってそれが無いとAちゃんに逃げられると思うことが嫌だから。」
黒く、艶のある髪を指に巻き付けて
くるくると反時計回りに回している太宰は、沈んでいるAに話しかける。
「だから、逃げればいいんだよ。
但し…………。」
巻いていた指の動きを止め、毛先の方まで指を動かすと口元まで持っていき、口付けを落とした。
「君のお母さんや、中也がどうなるか知らないよ?私は優しいからね選択肢を与えるの。」
選択肢を与えると云っているが、Aには一つも選択肢なんて存在していなかったのだ。
目に見えない拘束具で、胸が張り裂けるのではないかと錯覚さえさせるほどに巻き付けられたそれは、Aに大きな絶望を与える。
「もう、離さないからね。」
悲痛な叫びが部屋に響く中、悪魔が微笑んだ。
To be continued.
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新那@pixiv小説参戦予定(プロフ) - サラサエビさん» ありがとうございます泣サラサエビ様そう仰って下さると嬉しいです、これからも楽しみにしてくださいね( ´ω` )/ (2017年7月2日 21時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
サラサエビ - 太宰さんとヤンデレ…最高の組み合わせです!大好きです!これからも楽しみにしていますね(^-^) (2017年6月22日 23時) (レス) id: daadec8c31 (このIDを非表示/違反報告)
新那(プロフ) - 楪風香さん» 楪風香様評価ありがとうございます!本当ですね!!嬉しくて言葉が出てきません……楪風香様の作品読ませて頂いてます何時も通知が来る度に楽しみにしています!!まさか、コメント下さるとは夢にも思いませんでした(><)コメントありがとうございました (2017年6月21日 22時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
楪風香(プロフ) - 101票目をポチッとな!面白いです!殿堂入りおめでとうです(o^―^o)ニコ (2017年6月21日 21時) (レス) id: 86c9c0f128 (このIDを非表示/違反報告)
新那(プロフ) - すたさん» バレた(/ω\*)、ありがとうございます!そう言ってくださると嬉しいです (2017年6月20日 0時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新那 | 作成日時:2017年6月12日 20時