07. 不明 ページ10
-中也side-
奴を取り逃がしてから数週間。
首領は「そう簡単には捕まらないだろうねぇ」と言って苦笑していた。
ポートマフィア内にある、自分の執務室。俺は首領との会話を思い出して舌打ちを漏らし乍ら、
手元の書類を睨んでいた。奴が見せた余裕の笑みを思い出す度に、無意識に舌打ちが鳴る。
1ヶ月ほど前、俺に下された命令は 〈
数少ない情報を元に何とか奴の尻尾を掴み、後一歩で捕獲という処で邪魔が入った。
中「あの糞鯖、絶対ェぶっ殺す…!」
そう、武装探偵社が奴に何故か敵だと見做され、そのまま逃げられてしまったのだ。
だが此の儘放っておく訳にもいかない。此方も仕事だ、手加減などしていられない。
俺はもう一度、机の上にあるたった1枚の資料を睨む。
名称〈光奪闇授〉。性別は女。それ以外の
他に判っているのは、路地裏街に足を踏み入れた者の視力を必ず奪うという事のみ。
しかし、最も厄介な点は_______
中(あの時奴が使った異能力は…〔幻像〕と〔自己防衛〕と〔視力剥奪〕、か。)
《あんたが今迄捕まえてたのは幻像。本物は此方だよ。》
最初は、男の影に囚われた時。奴が指を鳴らすと同時に、影に絡め取られた
人物は霧の如く消え失せた。あれは間違い無く〔幻像〕の異能だ。
《私の異能力だよ。まぁ此れは “オマケ” みたいなもんだけど。》
そして、男が反撃を試みた時。男の躰は一切動かなかった。異能も発動出来なかった。
自分に危害を加える動作を全て強制停止させる〔自己防衛〕の異能の類だろう。
《此方が本質。あんたなら……言わなくても分かるよね?》
最後に、男の額に指を当てた時。調べてみると、あの男は本当に視力を失ったらしい。
“本質” は〔視力剥奪〕の事だろう。そして恐らく、“オマケ” は〔幻像〕の事だ。
此の2つだけなら〔視覚異常を起こす〕能力だと捉えられる。だが問題はこの後だ。
《其れが私の異能力。〔触れたものの動きを止める〕能力だよ。》
如何しても説明のつかない〔自己防衛〕の異能に加え、此の発言。此れでは、奴が2種類の
異能力を所持している事になる。其れは絶対に有り得ない。異能力は1人につき1つだけだ。
苛立ちが募る。最早訳が分からない。彼奴は一体何なんだ?
中「だぁぁぁもう埒が明かねェ!」
思わず叫んだ俺の声は、執務室の中で虚しく響いた。
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まめだぬき - 七海@月と星−−君と幸福な世界さん» コメントありがとうございます!ご期待にお応えできるよう、頑張ります! (2018年10月7日 21時) (レス) id: e5e4772723 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 此れからの御話が凄く気になります!更新頑張って下さい!主人公ちゃん、格好いいです!頑張って下さい!応援しております!長文失礼致しました。 (2018年9月1日 16時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - 林檎はいつまでも……さん» そうなんです、意外と難しいんですよこれ。いつも結構頑張って考えてます笑笑 (2018年4月30日 17時) (レス) id: 200b58f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
林檎はいつまでも…… - なんかいつもサブタイトル2文字に収まってて格好良い感じです。 (2018年4月24日 21時) (レス) id: 0403755de3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだぬき - 林檎はいつまでも……さん» ありがとうございます笑 更新速度がマジで終わってますが、どうか見捨てないで下さいね…。 (2018年4月23日 20時) (レス) id: 200b58f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめだぬき | 作成日時:2018年3月27日 22時