53匹砕ける。 ページ3
「エミさんよ。
どれほどの時間をかけたかは想像もつかんが、お前は…
動画やブロマガや、『エーミール』が関わった全ての創作物からその形跡を尽く消して、
さらにはその消去で違和感が生まれないように作り替え、
数多存在する我らが国民や、多岐にわたる関係者の記憶も抜かりなく消去し、
最終段階として今『我々』からも、『エーミール』に関する記憶を完全に奪いつつある。」
目の前の『エーミール』は、静かに俺の言葉を聞いている。
…聞いているだけだ。
何も言葉を返さない。表情一つ変えない。
その様子を不可解に感じながらも、次の手を進める。
「余程、本気で『我々だ』から消え去りたいらしいな。」
『…ええ、もちろんです。
ですので、『エーミール』に関する記憶を残した最後の一人…我らが総統である貴方にも。
一刻も早く『エーミール』を忘却していただきた』
「まぁ待て、焦るなエーミール。
どうせ辿る結末が変わらんのなら、この話が終わってからでもかまわんだろう」
ふと気づけばエーミールの口調は、『異世界』のエーミールのような硬い口調から、普段通りの丁寧な言葉遣いに戻っていた。
……1歩、踏み込む。
「…お前が本気で消え去りたいんだとしたら…
今回の一連の事変には、いくつか疑問点が生ずる。」
『ほう？それは一体、どういった疑問で？』
相手はただ、目を細める。
その顔からは、『どんな疑問を投げかけられようが自分は完璧に答えられる』といった自信が透けて見えるようで。
「順を追って疑問点を挙げていこう。
…まず1つ。
国民や、我々以外の関係者の大勢からは一日足らずのほんの一瞬の間に記憶を抜き取ったのに対し…
なぜ我々十数人の記憶は、そう段階を分け、時間をかけて忘却させたのか？」
『画面越しにしか『エーミール』を知らない国民たちより、
何度か交わることはあれど、元々異なる所属の関係者の方々より、
何年もずっと、画面を隔てずに頻繁に会ってきた、同じ所属のあなた方は
『エーミール』の記憶を遥かに多く持っているため。
記憶の消去に要する時間が段違いに長いからです。』
即答。
どうやら、この質問を聞かれることを予測して、既に答えを用意していたらしい。
「…では、一日の内に2人分の記憶を消せたはずのお前が、
3日に1人分や1週間に1人分と、記憶を消すタイミングに偏りを見せたのは何故だ？」
答えはまだ、返ってこない。
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きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - エミさん声出し記念7周年の翌日にこれみるとかどんな奇跡だよ…すき… (12月30日 1時) (
レス) @page28 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
烏丸 - すごい…感動出来る……この小説をきっかけにemさんのアンチスレを実際に見てみました…いい意味で生々しいというか、心に響く作品ですね…応援してます！！ (2023年4月5日 14時) (レス) @page24 id: 144a6ab78e (このIDを非表示/違反報告)
アルト - 新しい話出てる！久しぶりだぁ…！嬉しいです！！ (2023年4月1日 20時) (レス) @page23 id: 55059b1f92 (このIDを非表示/違反報告)
ひるねる - コメント失礼します！世界観？というか設定？好きです！（語彙力消失）やっぱりこのダサいくらいのエミさんがエミさんやな！（決して本人をバカにしている訳ではありません）更新頑張ってください！(*´∀｀*)尸" (2023年1月23日 3時) (レス) @page22 id: 7cd55c346b (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - 続編だぁ！こんなに素敵な小説をいっぱい見れて幸せです〜！ (2022年8月11日 18時) (レス) @page1 id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マンゴスチン | 作成日時：2022年8月11日 14時
