50匹砕ける。【躊躇:青】 ページ50
……
目が、覚める。
くられ先生の手によって、俺らに接続されていた機械が取り外される。
俺とくられ先生は隠れとったから、エミさんには気づかれなくて。
あの場でエミさん殺させられたのは、ゾムであって。
つまり、僕は。
今回の騒動で初めて、『空間』での記憶を持ち帰ることができた。
「…くられ先生、見ました？…そもそも、覚えてます？」
「……ああ、うん。見たし、覚えてますよ。
でもまさか本当に君たちに『消え去ったメンバー』が居て、
その方が『意識』の中で『記憶の強制的忘却』を起こしてるとは…
……やっぱりこの世界、二次創作なんじゃないかなぁ…」
「先生！？」
冗談ですよ、と意識を共有する前と同じような言葉を返してきたけど、どうにもそうは思えない。
…ってか、ゾム！
ゾムは平気やろか、なんかその、途中、大分取り乱してたみたいやったけど…
心配で、どこか呆然とした様子のゾムに駆け寄る。
フードを目深に被って、ガスマスクも付けて、普段より露出が少ないその顔は、
何だか、今にも泣き出してしまいそうに見えた。
「ゾム、大丈夫か？キツないか？
…ｯエミさんのこと、ちゃんと覚えとるな？」
「…おん、俺は大丈夫…エミさんのことも、ちゃんと、…ちゃんと、覚えとるよ。
………ただ」
「ただ？」
「なんか、やな感じが消えへん、
ずっ…と、心臓の辺りが、こう…モヤモヤしててん。」
そう言って、ゾムは気分が悪そうに目を伏せた。
……思い出す。
あの時、『意識』の中で。
隠れた遮蔽物からでも、2人からそれなりに離れた場所からでも、
把握ができたほどに大きく、エーミールを呑み込むように大きく広がっていた、
喚くような、嘲るような、耳触りの悪い非難の声。
あんなん間近で聞かされれば、そりゃそうなるわ。
…あくまで、俺らは非難の対象じゃないから。
それを聞かされてもただ『気分が悪い』で済ませられるけど、
エミさんにとっては、そうやなくて。
あの悪意全部が絶えず、ずっと、他の何でも誰でもない、自分自身に向いていて。
今の今まで、こうしてエミさんが消えようとしてるの、『何で急に』とか思っとったけど。
そう考えると、全然急でも何でもなくて。
…むしろ、よく今まで、気が狂わんかったな、なんて。
───本当に、此処に連れ戻すのが、エミさんのためになるのか、なんて。
思った。
思わされて、しまった。
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慧羽 - この話ヤバい…めちゃくちゃ泣きました。今ちょうど、好きなユーチューバーがアンチのせいで辞めてしまって、ちょうどアンチにとても怒ってたので、本当に泣きました…。神すぎる作品を作って頂き、ありがとうございます!! (2022年8月11日 20時) (
レス) @page50 id: 55059b1f92 (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - 半分ファンタジーで、半分は現実でも起こることなんだなぁ。一気に読みました。神小説ありがとうございます。 (2022年8月10日 22時) (レス) @page45 id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
ふかふかおふとん??(プロフ) - 神ですね涙がとまらない (2022年8月10日 20時) (レス) id: 1455eebfad (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 何この作品⋯!!神すぎる⋯泣きました。涙腺崩壊です⋯。本当アンチとか群れないとなんにもできないくせにいらないですよね⋯。本当この作品神すぎます。好きです (2022年8月10日 15時) (レス) @page14 id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 泣いた。今もスレとかあるからマジでスレ消したい。アンチとかなんであるんだろなぁ… 自分が叩かれてたらって思ったらゾッとするはずなのに。個性じゃん。この作品マジで神ですね。好きです（唐突） (2022年8月10日 14時) (レス) id: bc837922a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マンゴスチン | 作成日時：2022年8月8日 7時
