黒「虹村主将の妹さんが乱暴で粗雑で可愛すぎるんですが」【黒子のバスケ】

第５Ｑ:チビの底力じゃあ！ ページ7

「うっしゃあ、暴れんぞ!!」

「させるか!!」

悠の前に、二年が立ちはだかった。

「良いね良いね、そう来なくっちゃな！」

二年は悠にスティールをかけようとする…が、上手くいかなかった。

「(低い!!)」

悠は極限まで腰を落とし、非常に低い位置でドリブルをした。
本来ならばそんな定位置でドリブルなど成功しないだろう。
だが、悠は高速で、まるで踊るかのようにボールをつき、二年を抜いた。

「うおらっ!!」

「んなッ!?」

ゴール付近まで辿り着いた時、悠は急に進まなくなった。
そして、まるで投球するかのようなフォームでボールをぶん投げた。
ボールはとてつもない勢いで飛び、轟音を立ててボードにぶつかると、リングへすっぽりと収まった。

「しゃおらっ！」

悠は拳をグッと握り込む。
黒子を除く部員は、ポカンとした表情でそれを見詰める。
有り得ない。
あんなバスケのフォーム、見たことがない。

「リバウンド気を付けろ一年！」

悠の声にハッとした一年は、慌てて気を引き締める。

「っち!!」

気付かれて焦った二年は、バウンズでパスを出した。

「バッ…」

それに慌てた日向が声を上げるが、もう遅い。
ボールは黒子の手に廻っていた。

「うおお、いけえ黒子!!」

黒子はシュートを放った…が、ボールはリングに当たり、入らない。

「…だから弱ぇ奴はムカツクんだよ、ちゃんと決めろタコ!!!」

ボールは、後ろに控えていた火神により、リングへ叩き込まれた。
それを見た黒子は、微かに笑みを浮かべる。
その瞬間、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

「うわぁああ!!一年チームが勝ったぁ!!?」

「いよっしゃあ!!ナイスだ、テツヤ、火神!!」

悠はピョンピョンと跳び跳ねて、全身で喜びを表す。
だが、ハッとしたようにベンチへ戻ると篭の中からボトルを数本取り出した。

「センパイ、スポドリっす！一年、火神、テツヤも！」

今更ながらマネージャー業を思い出したのだろうか、慌てて選手達にスポドリを配り始めた。
選手達は礼を言い、ドリンクを飲み始める。

「…あれ？なんだこれ、うめえ！」

二年は驚いたように声を上げた。

「あ、お口に合いました？良かった」

「え、え、何で!?好みドンピシャなんだけど!?」

「今日まで飲んでいた飲み物の系統から、好みの味を割り出しました」

「何で知ってんだ!?」

「人間観察、好きなんで。流石に一年はまだ割り出せませんでしたが、一週間あれば割り出せます」

悠はどや顔をしながら、胸を反らした。
どうやら彼女は、選手としてだけではなくマネージャーとしても優秀らしい。
帝光中、恐るべし。

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