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consult.42 ページ43






三ツ谷が中二なって、
一個下の後輩が入学してきた時。

廊下でたまたますれ違った時、
"A"と人から呼ばれる彼女を見たのだ。


その姿、男に向ける目、

どことなく、あの時の少女に見えたせいで
三ツ谷は無意識にAを少女に被せて見ていた。


だからこそ、三ツ谷の頭には
いつのまにか Aの姿があったのだ。

彼女の姿は、頭から消えなかった。




中三になって

後輩から告白されて、その時出た
Aの名前に、無意識に反応していた。


Aが好きだって。
そうだったら嬉しいなんて…そう、思っていた


そして、彼女の教室を初めて訪れたあの時。

彼女が逃げてったあの背中…
初めてちゃんと話したあの感じ…

やっぱり、あの時の小学生と一致していて…


そうして、三ツ谷の中で確信していった。




あの時の少女は、雪野Aなのだと_____









 














 




Aが小6だった時。
実は三ツ谷がAを知っていたと聞いた千冬。

三ツ谷が言った、
泣きそうな顔で逃げたというAの話。

その言葉に、千冬も昔の事を思い出していた。









「ち、千冬ぅぅぅ……」




「!な、何で泣いてんだよ、オマエ…」









小6になって後半の頃。


自分家のように、
Aは千冬の家の扉を開けて
ランドセルを背負ったまま千冬の前に現れた。


今にも泣きそう…いや、もうすでに泣いてる。


数ヶ月前の出来事の一件以来、
色々あって一緒に帰るようにはしていたが
今日はAが学校に用事があった為、
千冬は1人 先に家へと帰っていた。


そしてなんだ、この状況は。









「男の人に話しかけられたぁ……」




「は?………オマエ、また
自分から突っかかってったんじゃねーの?
喧嘩売るなっつったろ」









最後にはこうやって泣いてしまう。


それくらい、男に対して
苦手意識を持っているのだから

怖いのなら行かなければ良いのに、千冬はため息をつく。









「違うもん。喧嘩売ってないもん。
それに話しかけられたのはまた別だもん」




「あー、はいはい。分かったから」









面倒に立ち上がった千冬は落ち着かせる為に
Aの頭に優しく手を乗せる。


面倒な態度を見せてはいるが、
千冬自身 然程面倒な事でもない。


弱っているAの姿を見るのは
良い気分はしないから。


頭を撫でるだけで落ち着くのなら
何度でもしてやると千冬は思った。









「(猫みてぇ)」









なんて思ったのは秘密。




纏まらない言葉でAは話し出した。


男に誘拐されそうだった少女を
助けようと割り込んで、上手く逃げたと。

だが問題はその後で、
それを見ていた 学生服の男に話しかけられたと


話しかけられた内容を
本人は覚えてないらしいが、どうやら
Aの気に障った言葉だったらしい。









「男は、嫌い」




「………その癖、人助けはするんだな。ほんとバカ」




「…そんな立派じゃない。
男からあの子を離そうとしただけ」









不審者とかどうのはどうだっていい。


Aはただ、"男"という対象から
女性を守ろうとしているだけなのだ。


それもそれで、かなりご立派だが。









「どうせ最後は泣くんだから、
そういうの、1人の時はやめろよ」




「…泣いてないよ」




「泣いてんだろ、どう見たって!」

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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時

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